政府は10月28日、財政支出ベースで約39兆円に上る大型の総合経済対策「物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策」を閣議決定した。医療・介護分野ではDX(デジタル・トランスフォーメーション)の推進やウィズコロナ下での感染症対応の強化を盛り込んだ。総合経済対策決定後、記者会見に臨んだ岸田文雄首相は「この経済対策をできるだけ早くお手元にお届けする」として、補正予算の編成を急ぐ考えを示した。
医療・介護のDX推進では、2024年秋の健康保険証廃止を目指し、マイナンバーカードと保険証の一体化に向けた取り組みを加速。また、「全国医療情報プラットフォーム」創設に向けた工程表策定やオンライン資格確認の用途拡大を推進する。医師等国家資格確認のための関係システム改修にも取り組む。
感染症対応の強化では、病床・宿泊療養施設・医療人材の確保、ワクチン・治療薬の研究開発支援などを進める。
28日の記者会見で岸田首相は、マイナンバーカードと保険証の一体化について「保険証廃止後はマイナンバーカードで保険診療を受けていただくのが基本」としつつ「何らかの事情で手元にマイナンバーカードがない方が保険診療を受けられる制度を用意する必要がある」と述べ、関係府省による検討会を設置し円滑に移行するための環境整備を行う考えを示した。
野党などから「健康保険証を残したらいいではないか」との意見があることについては、「マイナンバーカードで医療機関を受診することで、健康・医療に関する多くのデータに基づいたより良い医療を受けていただくことができる」などと述べ、廃止の方針を変えない姿勢を示した。