政府は12月23日、2023年度税制改正大綱を閣議決定した。厚生労働省関係では、認定医療法人に対する相続税・贈与税の納税猶予などに関する特例措置について、適用期限を26年12月末まで延長することが決まった。
認定医療法人制度は、医療法人が出資持分の払い戻しなどによって医業継続が困難になるのを避ける目的で、14年の医療法改正時に創設。「持分あり医療法人」が「持分なし医療法人」への移行計画を策定し、厚生労働大臣の認定を受けて「認定医療法人」になると、さまざまな税制上の特例措置を受けられる。例えば、移行過程で出資者が持分を放棄したことにより、認定医療法人に課されるみなし贈与税については、納税を一旦猶予した上で、「持分なし医療法人」への移行後に免除する特例が設けられている。
これらの特例の適用期限は現在、23年9月末となっているが、今回の税制改正ではこれを26年12月末まで延長する。特例を受けるための移行期限も見直す。現行では厚労相による移行計画の認定から「3年以内」に移行を完了する必要があるが、期限内に出資者から持分放棄の同意を得ることができずに認定取り消しとなる法人が散見されたため、「5年以内」に緩和する。
地域医療構想の促進を目的とした優遇措置では、厚労相が認定した再編計画(認定再編計画)に基づいて不動産(用地・建物)を取得した場合に、登録免許税の税率を1/2に軽減する措置の適用期限を26年3月末まで、3年延長する。
このほか、(1)医師及び医療従事者の労働時間短縮に寄与する機器等を取得した場合の特別償却制度、(2)地域医療構想の実現に向けた病床再編等のために取得した建物等に関する特別償却制度、(3)高額な医療用機器を取得した場合の特別償却制度―についても、現行では23年3月末となっている適用期限を2年延長。このうち(3)は、高度な医療の提供という観点から対象機器の見直しを併せて実施する。