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副鼻腔炎による頭痛 【三叉神経終末からの神経ペプチドが疼痛に関与していることが示唆】

No.4819 (2016年09月03日発行) P.53

伊藤康男 (埼玉医科大学神経内科講師)

荒木信夫 (埼玉医科大学神経内科教授)

登録日: 2016-10-18

最終更新日: 2016-10-19

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副鼻腔炎による頭痛は,最も頻度の高い二次性頭痛のひとつと考えられているが,発症機序は明らかではない。ただ,おそらく鼻副鼻腔内の粘膜病変が侵害刺激となり,三叉神経終末からのunmyelinated C fiberを介した神経原性炎症が起き,三叉神経からの順行性と逆行性双方の伝導が生じ,末梢でのcalcitonin gene-related peptide(CG RP)やサブスタンスPなどの神経伝達物質が遊離し,それらの炎症により血管透過性の亢進や血管拡張が惹起されることで頭痛が起こると考えられている。片頭痛の病態仮説のひとつである三叉神経血管説との相同性である。さらに,副鼻腔炎群と片頭痛群での頭痛発作期における唾液中のCG RP,vasoactive intestinal peptide(VIP)を測定した検討1)では,発作時CGRP濃度とVIP濃度は,両群ともにコントロール群に比し有意に高値であった。よって片頭痛と同様に,三叉神経終末からの神経ペプチドが疼痛に関与していることが示唆された。

急性副鼻腔炎は,頭痛のほかに膿性鼻漏や頰部圧痛が診断に有用である一方,慢性副鼻腔炎は炎症所見に乏しく,頭痛の原因としては議論の余地が残る。片頭痛などの一次性頭痛と副鼻腔炎が共存する場合,急性副鼻腔炎や慢性副鼻腔炎の急性増悪により,当初の一次性頭痛のコントロールが不良になる恐れがある。さらに,薬剤の使用過多による頭痛(MOH)2)に陥る可能性に留意する必要がある。

【文献】

1) Bellamy JL, et al:Headache. 2006;46(1):24-33.

2) Headache Classification Committee of the Inter­national Headache Society(IHS):Ceph­alalgia. 2013;33(9):629-808.

【解説】

1)伊藤康男,2)荒木信夫 埼玉医科大学神経内科  1)講師 2)教授

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