【質問者】遠藤英徳 広南病院脳神経外科部長
【AIによる脳腫瘍の病変自動検出が最初に実用化されると予想しています】
映画や小説では人工知能(AI)が自律的に考え,主人公である人間を助けるシーンが数多く描写されています。また,有名なテック企業が「○○AIを開発した」というようなニュースが流れるたびに,いよいよAIが現実のものとなり臨床現場で直面する多くの問題を解決するのではないかと期待されます。しかし,AIは決して現代版「魔法の杖」などではなく,技術的な可能性と限界に縛られていることをしっかりと認識しておくことが必要です。
MRIやCTといった放射線画像は数値データの集合体ですので,数値データを取り扱うことが得意なコンピュータがAIなどのアルゴリズムを用いて解析する対象として最適です。さて近年,脳腫瘍診療で求められる情報の量と質は飛躍的に増えました。悪性脳腫瘍を代表する神経膠腫でも,良性脳腫瘍を代表する髄膜腫でも従来の組織型による分類よりも遺伝子変異による分類のほうが患者の予後を正確に予測できることがわかってきました。
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