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【識者の眼】「産婦人科領域における遠隔健康医療相談活用事例③─男性パートナーからの相談」重見大介

No.5164 (2023年04月15日発行) P.62

重見大介 (株式会社Kids Public、産婦人科オンライン代表)

登録日: 2023-03-31

最終更新日: 2023-03-31

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筆者が2018年より開始した産婦人科領域における遠隔健康医療相談サービス1)から、活用事例シリーズの第3回目として、今回は「男性パートナーからの相談」について紹介したいと思います。

スマホ等を用いたオンラインでの相談では、医療機関へ日中に受診する必要がないことから、男性が産婦人科関連の相談をしやすいという特徴を持っています。通常、産婦人科に男性が一人で相談に訪れることはありません。しかし、男性やカップルにとっての産婦人科関連の課題や悩み事は少なくなく、例えば性感染症、避妊、妊活、男性不妊、性交障害などが該当します。これらは女性にとっても重要なトピックですが、男性にとっても同じく重要で、「男性のSRHR(セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス&ライツ)」に直結するものと言えるでしょう。こうしたことを、スマホを用いて夜間でも自宅から産婦人科医に直接相談できるため、オンライン診療ではなく遠隔健康医療相談のメリットが活かせる分野だと考えられます。

また、上記以外にも例えば「40代後半の妻が最近怒りやすく、仕事もあまり上手くいってない様子。更年期なのかと思いつつ、本人には切り出せずにいます。夫としてどのように接していけばいいでしょうか?」というような相談も寄せられます。更年期症状・障害は、適切に受診・治療できている割合が非常に低いという特徴を持っています。また、職場やご家族にも影響が出やすいため、こうした周囲の方からの相談をきっかけに相互理解が深まり、適切な自己認識や産婦人科の受診につながることは大きなメリットがあるでしょう。

10代など若い世代も含めて、誰もが産婦人科へオンラインでの相談が気軽にできる仕組みが社会に構築されることで、SRHRに関わる様々な課題解決につながることが期待されます。医療機関において産婦人科に男性患者が一人でも受診できる体制を全国に整えるのはすぐには難しいでしょうから、こうした情報通信機器(ICT)を用いたテクノロジーで補完していくことが大切だと考えています。

【文献】

1)株式会社Kids Public:産婦人科オンライン.
https://obstetrics.jp/

重見大介(株式会社Kids Public、産婦人科オンライン代表)[遠隔医療]

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