株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

高齢者の発声機能の特徴と改善の可能性について

No.5164 (2023年04月15日発行) P.50

高橋邦行 (宮崎大学医学部耳鼻咽喉・頭頸部外科教授)

山下 勝 (鹿児島大学大学院医歯学総合研究科 耳鼻咽喉科・頭頸部外科学分野教授)

登録日: 2023-04-13

最終更新日: 2023-04-11

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
    • 1
    • 2
  • next
  • 超高齢社会である日本では,社会からの孤立,認知症予防のためにも,他者とのコミュニケーションの重要性が指摘されています。コミュニケーションツールとしての高齢者の発声機能の特徴と改善の可能性について,鹿児島大学・山下 勝先生にご解説をお願いできればと思います。

    【質問者】高橋邦行 宮崎大学医学部耳鼻咽喉・頭頸部外科教授


    【回答】

     【声帯萎縮や声帯溝症を主とし,環境因子に修飾される。適切な診断が鍵となる】

    高齢者が嗄声を生じやすいことは周知の事実です。しかし,嗄声は声帯での現象のみではなく,呼吸筋の機能低下,共鳴腔の形態変化等にも影響を受けます。以下,喉頭に生じる特徴について述べます。

    加齢に伴い,甲状披裂筋の筋萎縮や筋線維数の減少,声帯粘膜固有層内の線維芽細胞数減少や機能低下などにより,声帯萎縮や声帯溝症といった病態を生じます。また,分泌物の減少も不規則な声帯振動を惹起し,易傷害性を生じて嗄声に影響を与えます。

    診断は喉頭内視鏡検査やストロボスコピーによって行われ,声帯の弓状変化や粘膜上皮の凹凸の状態,発声時の声門閉鎖不全や不規則な振動が特徴的です。気息性嗄声を主としますが,時に声門閉鎖不全代償のために仮声帯内転が生じて過度の粗造性嗄声を呈することもありますので,原因を探る姿勢が肝要です。

    残り851文字あります

    会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する

    • 1
    • 2
  • next
  • 関連記事・論文

    もっと見る

    関連書籍

    もっと見る

    関連求人情報

    関連物件情報

    もっと見る

    page top