中央社会保険医療協議会は4月26日、改定施行時期の後ろ倒しが大きな争点となっている「診療報酬改定DX」を中心に医療DXについて議論した。改定施行時期の後ろ倒しについては、複数の委員が現場に混乱が生じないよう慎重な検討を要請。支払側は、薬価改定に関しては4月施行を堅持すべきだと主張した。
医療DXは、(1)関係者が保健・医療・介護情報を交換・共有できる「全国医療情報プラットフォーム」の構築、(2)電子カルテ情報の標準化や電子処方箋の普及、(3)診療報酬改定に伴う医療機関等の負担の極小化を目指す「診療報酬改定DX」の推進―が主な柱。オンライン資格確認等システムを基盤に順次これらの機能を追加していく予定で、政府は今春に具体的なスケジュールを盛り込んだ工程表を策定・公表する方針を明らかにしている。
厚生労働省はこの日、医療DXの論点として、①全国医療情報プラットフォームの構築や電子カルテ情報の共有に向けて、標準化された3文書(診療情報提供書、退院時サマリー、健診結果報告書)・6情報(傷病名、検査情報、処方情報など)の普及を促進し、医療の質向上に役立てていくことをどう考えるか、②診療報酬改定DXにおける改定施行時期の後ろ倒しなどをどう考えるか、③電子処方箋による薬剤情報の有効活用を通じて質の高い医療を提供するために、どのように対応していくべきか―など5項目を提示し、総会での議論を求めた。
診療報酬改定施行時期の後ろ倒しについて、診療側の長島公之委員(日本医師会常任理事)は、医療機関への影響や財政影響、改定効果の検証にマイナス影響を及ぼさないようにするための期間設定など、総合的な観点から慎重に議論を進める必要があるとの認識を表明。ほかの複数の委員も同様の見解を示した。
これに対して支払側の松本真人委員(健康保険組合連合会理事)は、薬価改定の施行時期は現行のまま4月を堅持するべきだと主張。薬価の場合は、改定後の価格交渉に一定の期間を要する、薬価改定以外にも年4回の新薬収載がある―などの特性があるため、「4月施行をずらせば全体のバランスが崩れる」と危惧を表明した。