てんかんの診療では、発作や服薬状況などを記録する患者・家族向けアプリ「nanacara(ナナカラ)」や専用のオンライン診療システムの活用が広がりつつある。アプリとオンライン診療システム作成に関わった大阪市立総合医療センター小児脳神経内科部長の岡崎 伸氏に、アプリ開発の経緯やオンライン診療の利点と課題を聞いた。
患者さんやその家族がスマートフォンを使って簡単に、てんかんの発作や服薬状況、体調などのパーソナル・ヘルス・レコード(PHR)を記録できるアプリです。発作時の動画なども保存できるようになっています。ベンチャー企業のノックオンザドア(東京都港区)、患者・家族の会のSAChi(サチ)プロジェクト、私を含む医療者が一緒に開発を進め、2019年9月からサービス提供が開始されました。
てんかん診療では、発作や服薬の状況によって薬を調整したり変更したりするため、患者さんの発作の様子をできるだけ正確に伝えてもらう記録が非常に重要です。以前は発作記録ノートを使っていましたが、紛失や診察時に忘れることも少なくありませんでした。
スマートフォンを活用して、もっと簡単に記録できないかと考えていたところ、生理周期の記録アプリ「ルナルナ」などの開発に携わった林 泰臣氏(ノックオンザドアCEO)に出会い、アプリを作ることになりました。てんかんの患者さんとご家族約250人にヒアリングをし、ユーザー目線でアプリ開発をめざしたのが特徴です。
「nanacara for Doctor」という医師向けサービスも20年10月にスタートし、nanacaraで記録されたデータを診療時にパソコンで閲覧できるようになりました。