【質問者】加藤公則 新潟大学大学院生活習慣病予防・健診医学 講座/新潟県労働衛生医学協会
【食塩感受性という病態があり,腎尿細管のナトリウム再吸収がカギになる】
高血圧は,わが国で約4000万人が罹患する,重要な生活習慣病です。食塩摂取量と血圧値との間には,相関関係があることが知られています。日本高血圧学会の「高血圧診療ガイドライン2019」では,減塩目標として食塩6g/日未満を提唱しています。経口摂取された食塩は,体内に吸収されたのちに,腎臓を介して,尿中に排泄されます。腎臓の糸球体は,限外濾過により,血漿由来の原尿を生成します。血漿中のナトリウムは,ほぼ100%が原尿に分泌され,尿細管を通過する過程で,99%が再吸収されると考えられています。Guytonらの提唱する圧-利尿曲線(Ⅱ型の腎機能曲線)によると,ナトリウム排泄量・ナトリウム摂取量にかかわらず,血圧は狭い範囲に調節されます。生理的な腎機能の条件下では,食塩摂取量にかかわらず,血圧は一定に保たれると考えられます。
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