社会保障審議会介護給付費分科会は9月8日、介護人材の処遇改善や人員配置基準の緩和、介護現場の生産性向上などについて意見交換した。委員からは処遇改善に関する加算の一本化や経営基盤安定化のためとして基本報酬の引き上げを求める意見などが示された。
処遇改善のための加算は現在、「介護職員処遇改善加算」、「介護職員等特定処遇改善加算」、「介護職員等ベースアップ等支援加算」の3種類があり、介護職員の給与と全産業平均との格差は縮小傾向にあるものの、依然として低水準にあることには変わりない。
加算を取得するための事務作業の煩雑さも長年の課題で、分科会の議論では複数の委員が、介護報酬体系の簡素化や事務作業軽減の観点から、加算の一本化を要請。処遇改善のいっそうの推進にはその前提になる事業所等の経営基盤の安定化が不可欠だとして、基本報酬の引き上げを求める声も目立った。
人員配置基準の緩和では、“ローカルルール”への対応もテーマに取り上げた。現行制度では人員配置基準について、地域の実情に応じた条例の制定や運用が一定程度容認されている。例えば、厚生労働省令は他の事業所や職種との兼務を「管理上支障がない場合」などの条件付きで認めているが、この「支障がない場合」の解釈や運用に自治体による差異(=ローカルルール)がある。
こうした実態に委員からは、「自治体によって異なる基準や解釈をある程度統一するべきだ」との意見や、「ローカルルールが都道府県をまたぐ事業所等の経営の協働化・大規模化の妨げになる」と問題点を指摘する声が上がった。
生産性の向上では、介護ロボットやICTといったテクノロジーの活用に加え、介護助手の活用によるタスクシェア/シフトの推進が論点に位置づけられた。すでに介護事業所等の約半数で介護助手等が活用されている実態があるものの、介護系の専門資格を持っていない場合もあり、委員からは人員配置基準や介護報酬における取扱いなどを整理する必要があるとの指摘があった。