今年の秋のノーベル賞も、わが国の受賞者は出なかった。トップバッターの生理学・医学賞は、大方の予想通りmRNAワクチンのカタリン・カリコ氏とドリュー・ワイスマン氏のペンシルベニア大学のお二人。文学賞と平和賞は選考委員の考え方もあり、的中は難しいが、この方たちは大本命。新型コロナウィルスのパンデミックの被害を減らした救世主であり、特にカタリン・カリコ氏の経歴には誰方も頭を垂れるであろう。ハンガリー時代の極貧時代から米国へ、そこでも成果が出なくて研究費支援が尽きドイツへ、そして今回の受賞に。
今回の物理学賞“アト秒”の3人は皆、国籍を2つ持っている。皆インターナショナルなのである。フランスと米国、ハンガリーとオーストリア、フランスとスウェーデンという風に。日本は内向きで、どんどん離されている感が強い。研究のアウトバウンドもインバウンドも両方とも先細り。これではノーベル賞など夢のまた夢だろう。化学賞のムンジ・バウェンディ氏はチュニジア、フランス、米国と3つもの国籍を持っている。
また日本と異なり女性の活躍が多い。ジェンダーギャップ指数125位では望むべき事ではないのかも。政府は新しい資本主義には人への投資、教育、特にリスキリング、保育、待機児童対策や少子化、DV対策でこども家庭庁を創ったり、不妊治療の保険適用、出産一時金の増額、国際卓越研究大学の10兆円ファンドも遅まきながら。
9月16日(土)、私達のNPO法人の第10回研究集会、基調講演で黒川清先生のお話を伺った。「入試を無くすべき」「ケンブリッジ、オックスフォードを見習え」と。そんな事もあって、昨秋開校のハロウインターナショナルスクール安比ジャパン(岩手県八幡平市)の教師をNPOの第4回地域交流会in八幡平にシンポジストとしてお招きした。カリキュラムなどはまったくなく、図書館でそれぞれ興味のある本を読書して、やりたい事をやるのが基本と。学園は生徒の将来性、向き不向きを見つけるのが仕事。まず体力を付ける為に山登り、スキーなどができる安比高原を選んだと。こんな学園だからチャーチルなど7人のUK首相、3人のノーベル賞受賞者輩出、インドのネール首相もOB。18歳の大学入試がゴールの様な教育を変えなければと再確認した今年のノーベル賞であった。読者諸兄姉は守旧派ではないでしょうね‼
邉見公雄(全国公私病院連盟会長)[国籍][教育]