中央社会保険医療協議会は11月15日、回復期入院医療について議論した。「地域包括ケア病棟入院料」(入院医療管理料を含む)への逓減制導入や、「回復期リハビリテーション病棟入院料」での第三者機能評価受審の義務化などが論点となった。
「地域包括ケア病棟入院料」の算定患者は、包括範囲における1日当たりの医療資源投入量が入院後、徐々に低下する傾向がある。このため支払側の松本真人委員(健康保険組合連合会理事)は、医療資源の投入量に合わせて診療報酬を段階的に引き下げていく逓減制の導入を提案。診療側の長島公之委員(日本医師会常任理事)は、医療資源投入量が入院初期に多く、徐々に低下しているのは、医療機関が入院初期から適切なケアや退院支援に取り組んでいることの表れだと反論。逓減制導入に強く反対した。
地ケアではこのほか、(1)高齢者の救急搬送患者の受け入れに対する評価、(2)「短期滞在手術等基本料3」の算定が多い病棟の扱い、(3)施設基準の「在宅医療等の実績」のうち訪問看護と訪問リハビリテーションの実績評価のあり方―などが論点となった。
救急搬送後、直接地域包括ケア病棟に入棟した患者は、ほかの入棟経路よりも包括範囲の医療資源投入量が多い傾向がある。在宅等からの受け入れの評価ではすでに「在宅患者支援病床初期加算」があり、(1)についても診療側がいっそうの評価充実を要望。支払側も一定の理解を示した。(2)では、「短在3」を算定する患者の割合が高い病棟は、在宅復帰率などの施設基準を満たしやすい傾向があることを問題視。「短在3」の患者をこれらの計算式から外す方向で概ね一致した。
(3)では、「在宅医療等の実績」における訪問看護と訪問リハビリテーションの実績計算に介護保険による訪問回数も算入できるようにする案を厚労省が提示。緊急入院の可能性がある介護保険利用者と日頃から顔の見える関係を構築することにつながるため、診療側も「理に適っている」(長島委員)と前向きに受け止めている。
回復期リハビリテーション病棟では、入院料1、3における第三者機能評価受審の努力義務を義務化に変更すること、運動器リハビリテーションの提供を1日6単位までに制限することを支払側が要望。反対する診療側と意見が対立している。