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【識者の眼】「産婦人科領域における遠隔健康医療相談活用事例⑪─帝王切開についての疑問」重見大介

No.5199 (2023年12月16日発行) P.63

重見大介 (株式会社Kids Public、産婦人科オンライン代表)

登録日: 2023-11-30

最終更新日: 2023-11-30

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筆者が2018年より開始した産婦人科領域における遠隔健康医療相談サービス1)から、活用事例シリーズの第11回目として、今回は「帝王切開についての疑問」を紹介したいと思います。

妊婦さんの中には、医学的理由で帝王切開が必要になる人がいます。前回の出産状況や妊娠中の経過から、今回は計画的に帝王切開となる女性もいますし、経腟分娩のつもりで出産に臨んだけれど急な方針変更で緊急帝王切開が必要となる場合もあります。特に突然、帝王切開となった場合には、十分な時間をかけて術前説明を聞けない状況のことも少なくなく、また産後は身体の回復や赤ちゃんの世話で大変なので、帝王切開について改めて考える時間をなかなか取れないことも多いようです。

退院後、しばらくして帝王切開について疑問を持った場合には、産後1カ月健診の際に担当医に質問できます。ただ、その際にはまだはっきり疑問が湧いていなかったり、バタバタした診察の中で質問するのを控えてしまったりということもあるでしょう。また、産後1カ月を超えてしまうと産婦人科医との接点がほとんどなくなり、疑問や不安を持ってもなかなか気軽に相談できる方法がありません。そこで、遠隔健康医療相談が活用できます。

たとえば「帝王切開を受けると次の出産も必ず帝王切開になるのですか?」という質問も寄せられます。通常、退院時や産後1カ月健診時に説明するものですが、絶対に帝王切開がよいのか、それ以外の選択肢はどういった場合に取れるのか、など細かな点まで話せていないことも少なくありません。

また、「帝王切開は合計3回までしか受けられないと聞いたのですが本当ですか?」というような質問も寄せられます。医学的に回数の絶対的な上限は決まっていませんが、これも手術時の状況をふまえて丁寧に説明しないとなかなか伝わりきりません。こうした疑問や次回妊娠への不安に対して、遠隔健康医療相談であれば受診の手間をかけずに話ができますし、直接診察をせずとも丁寧に話を聞くことで十分な情報提供が可能です(もちろん、担当医に確認が必要な場合にはその旨を説明します)。

帝王切開は一定頻度で必ず必要になります。産後1カ月以降に専門家とのタッチポイントを得る場として、遠隔健康医療相談は有益だと考えています。

【文献】

1)株式会社Kids Public:産婦人科オンライン. https://obstetrics.jp/

重見大介(株式会社Kids Public、産婦人科オンライン代表)[帝王切開][産後1カ月健診]

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