厚生労働省は11月22日の中央社会保険医療協議会に「療養病棟入院基本料」の見直し案を提示した。現在は3分類となっている医療区分を9分類に細分化することや、中心静脈栄養の評価に一定の上限日数を設定することなどを盛り込んだ。
医療区分の見直しは、入院患者のDPCデータ分析で、①同じ医療区分の患者でも「疾患・状態」と「医療処置」のどちらに該当したかで医療資源投入量に差がある、②「疾患・状態」としての医療区分と「医療処置」としての医療区分の組み合わせの違いでも、たとえば両方とも医療区分3の組み合わせはそれ以外の組み合わせよりも医療資源投入量が高いといった差異がある―ことが明らかになったため。
患者の状態や提供する医療の内容をより反映した評価が可能になるよう、厚労省は「疾患・状態」と「医療処置」の評価を分離した上で、医療区分の分類数を「疾患・状態」としての医療区分3分類と「医療処置」としての医療区分3分類を組み合わせた合計9分類に精緻化する案を提示した。
中心静脈栄養は長期実施患者が増加傾向にあることへの対応として、中心静脈栄養の評価に一定の上限日数を設定することや、学会ガイドライン等で経腸栄養が禁忌かつ静脈栄養の適応とされていない疾患を医療区分2(通常は医療区分3)として評価することを提案した。
リハビリテーションの評価の見直しも取り上げられた。「療養病棟入院料1」の入院料Ⅰ(医療区分1・ADL区分1)の1日当たりの平均単位数は3.22単位で、回復期機能を担う地域包括ケア病棟(1~3単位が8割超)よりも高い水準にある。厚労省はその是正策として、リハビリの評価を2単位までに制限する案を示した。
医療区分の精緻化について診療側は、現に「療養病棟入院料1、2」を算定している医療機関が、医療区分2・3該当患者割合の施設基準を満たせなくなることを危惧。厚労省に詳細なシミュレーションの実施を求めた。またリハビリの単位数の上限設定には強く反対。地域の事情等で回復期の代替機能を担っている病棟があることなどを説明し、理解を求めた。一方、支払側はいずれの案にも賛成した。
このほか、看護職員配置25対1の経過措置病棟(注11)については、24年3月末で廃止する方針が確認された。