社会保障審議会介護保険部会は12月7日、介護保険の利用者負担2割の対象者拡大について、2024年度予算編成過程で検討するとした厚生労働省案を了承した。2割負担の対象拡大は元々、昨年末に決定する予定だったが合意に至らず、見送られた経緯がある。その後、再度部会で検討を継続してきたが、それでも意見集約が難しかったことから政治に判断を委ねることになった。
厚労省は今後の検討にあたって、①介護サービスは医療サービスと利用実態が異なるため、単純な比較は困難、②サービスの利用控等、見直しによるサービス利用への影響、③実務への影響や利用者への周知に十分に配慮する観点から、十分な準備期間を設ける―といった点に十分留意すると説明し、理解を求めた。
また同省は、現行は年金収入等が280万円以上(単身世帯)の場合とされている2割負担の所得水準を引き下げた場合の保険給付費への影響を、270万円以上から190万円以上までの間の10万円刻み・9パターンで試算した結果を提出した。それによると、引き下げ幅が最小の270万円以上の場合は、8万人が新たに2割負担となり、保険給付費は90億円減少。下げ幅が最大の190万円以上の場合は、75万人が新規で2割負担となり、800億円の保険給付費削減効果が期待できるとした。