日本ストライカー株式会社は11月30日にメディアセミナーを開催し、フルフレームHDR(※1)による高い再現性と、術野を安定的に描出するテクノロジーを兼ね備えた新たな内視鏡カメラ光源システム「1788 4K カメラシステム」を、全国の消化器外科、肝胆膵外科、整形外科などを対象に2024年1月7日から販売開始すると発表した。
近年、低侵襲な内視鏡下手術の普及に伴い、高度画像診断技術(AIM=Advanced Imaging Modalities)に対するニーズが高まっている。1788 4K カメラシステムは、2020年に同社が発売し4Kの鮮明なフルカラー画像に蛍光イメージングを表示(オーバーレイ)することに成功した1688 AIM 4Kカメラシステムの後継モデルとなる。内視鏡下手術では、充実した視覚情報を執刀医に提供することが精度の高い適切な処置へとつながり、周辺組織の損傷や縫合不全などの合併症リスクを低減、患者のQOL向上に貢献することが期待される。
1788 4K カメラシステムの主な特徴は下記の2点。
従来の8ビットから10ビットへと色階調の幅が拡大するとともに、フルフレームHDRによって多くの光を捉えて幅広い輝度に対応し、鮮明に術野を描出。また、独自のトーンモードによって画像の光バランスを調整し解剖学的構造を明確に区別することで、肉眼で見る陰影に近い高い再現性が期待できる。従来、内視鏡下手術では、術野の手前では光照射量が多く時にハレーションを起こす一方、最奥部が暗く描出されるケースが発生しているが、フルフレームHDRによって適切な明るさかつ臨場感のある描出が可能になる。
観察対象とカメラ先端の距離を認識・調整し、安定的に画像を描出するノーマライゼーション機能を、内視鏡カメラシステムで初めて(※2)採用。カメラ先端部の微細な動きに影響を受けずに継続的な観察ができるため、執刀医によるカメラ位置の調整や手戻りを低減し、効率的かつ精度の高い手術が期待できる。特に、近赤外線視覚化モード(※3)は、血管や血流、組織等の観察に貢献する。
セミナーでは、札幌医科大の竹政伊知郎教授(消化器・総合、乳腺・内分泌外科)がゲストスピーカーとして登壇。竹政氏は1788 4K カメラシステムについて「前のモデルの1688(4K カメラシステム)で十分だと思っていた。しかし1788(の4K カメラシステム)の画像は色が濃く、滑らかに表現されていて、画面は2次元であるにも関わらず奥行感の表現力が高いことに驚いた。またこれまでのカメラでは見えなかった1㎜以下の細かい神経が枝までクリアに確認できる」と評価。高画像の内視鏡カメラシステムが普及するメリットについて「手術のトレーニングや医学教育において非常に有用なツールとなる」と強調した。
※1:HDR=High Dynamic Rangeの略称で、従来よりも広範な明るさに対応する画像表示技術
※2:2023年11月時点
※3:近赤外線視覚化モードにおいて、近赤外線光がICG(indocyanine green/インドシアニングリーン)にあたることで、蛍光を発する