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薬疹[私の治療]

No.5203 (2024年01月13日発行) P.38

新熊 悟 (奈良県立医科大学皮膚科学教室准教授)

登録日: 2024-01-13

最終更新日: 2024-01-09

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  • 薬疹は体内に摂取された薬剤,あるいはその代謝産物によって誘発される皮膚や粘膜に生じる発疹である。皮疹として播種状紅斑丘疹型(紅斑や丘疹を呈するもの)が多いが,そのほかに,同心円状のターゲット病変を示す多形紅斑型,固定薬疹型,蕁麻疹型,紫斑型,苔癬型,乾癬型,光線過敏型など様々な皮膚症状を呈するため,皮疹の診断の際には常に薬疹の可能性を考えることが重要である。

    ▶診断のポイント

    薬剤摂取歴(皮疹の出現時期,薬剤の投与期間,類似薬を含む薬疹の既往歴の有無など)だけでなく,造影剤の使用歴や健康食品の摂取歴など詳細な問診が必須である。初めて内服した薬剤では感作が成立する1~2週間後に発症することが多い。一方,乾癬型薬疹や薬剤性過敏症症候群など1カ月以上の長期内服後に発症する薬疹や,造影剤のように単回投与のみで遅れて約1週間後に皮疹が出現するタイプも存在するため,注意を要する。また,固定薬疹では,何度か同様の症状を繰り返し経験していることが多く,その場合は,各エピソードで使用した薬剤の詳細を確認し,原因薬を同定する必要がある。

    いかなる薬剤も様々な皮疹を誘発する可能性があるが,薬剤ごとに出現頻度の高い皮疹が明らかになっており,診断の手がかりとなる。原因薬剤の同定に役立つ検査としては,薬剤リンパ球刺激試験(DLST)とパッチテストが比較的安全に施行可能である。プリックテスト,皮内テストや再投与試験を行うこともある。

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