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重症薬疹[私の治療]

No.5203 (2024年01月13日発行) P.39

木村春奈 (新潟大学大学院医歯学総合研究科皮膚科学分野)

長谷川瑛人 (新潟大学大学院医歯学総合研究科皮膚科学分野)

阿部理一郎 (新潟大学大学院医歯学総合研究科皮膚科学分野教授)

登録日: 2024-01-13

最終更新日: 2024-01-09

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  • 重症薬疹には主にスティーヴンス・ジョンソン症候群(Stevens-Johnson syndrome:SJS),中毒性表皮壊死症(toxic epidermal necrolysis:TEN),および薬剤性過敏症症候群(drug-induced hypersensitivity syndrome:DIHS)が含まれる。重篤な全身症状を伴い,時に致死的となるため,重症薬疹を疑った場合は被疑薬を速やかに中止・変更し,皮膚科専門医にコンサルトする必要がある。

    ▶診断のポイント

    【SJS/TEN】

    発熱や倦怠感などの全身症状とともに,急速に全身の紅斑,水疱が生じ,表皮剝離を形成する。また,眼や口腔,陰部などに粘膜疹を生じる。わが国では表皮剝離が体表面積の10%未満のものをSJS,10%以上のものをTENと定義している。皮膚病理組織では表皮の広範な細胞死を認める。

    【DIHS】

    薬剤開始の2~6週後と遅発性に全身の紅斑が生じ,原因薬中止後も皮疹が遷延する。特定の薬剤(抗痙攣薬,ジアフェニルスルホン,サラゾスルファピリジン,アロプリノール,ミノサイクリン塩酸塩,メキシレチン塩酸塩など)に発症頻度が高いことが知られるが,他剤でも発症しうる。発熱などの全身症状のほか,肝機能障害,血液学的異常(白血球増多,異型リンパ球,好酸球増多),表在リンパ節腫脹,ヒトヘルペスウイルス6(HHV-6)の再活性化を伴う。顔面の浮腫と口囲の鱗屑が特徴である。

    診断の際にはいずれも診断基準を参照する1)2)

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