中央社会保険医療協議会が2月14日に答申した2024年度診療報酬改定では、「外来腫瘍化学療法診療料」についても見直しが行われた。診療所での外来腫瘍化学療法を推進するため、専任の医師や看護師等の常時配置要件を緩和した区分が新設された。
「外来腫瘍化学療法診療料1、2」の施設基準では、専任の医師、看護師または薬剤師を院内に常時1人以上配置し、患者からの副作用等の問い合わせ・相談に24時間対応できる連絡体制の整備が求められている。22年度診療報酬改定以前の旧「外来化学療法加算1、2」の届出診療所については24年3月末まで適用を猶予する経過措置があるものの、常時配置する職員の確保の困難さから、旧加算に比べると移行後の診療料では診療所の届出が減少していることが問題視されていた。
このため24年度改定では、職員の常時配置基準を緩和し、やむを得ない事由がある場合は速やかにコールバックできる体制を備えていればよいとする「診療料3」を新設。施設基準ではこのほか、①「診療料1」の届出医療機関との連携によって緊急時に診療できる体制の確保、②連携する医療機関の名称等の地方厚生局等への届出と院内掲示、③緊急時に連携する医療機関での受診を希望する患者について、あらかじめ治療に必要な情報を文書で提供―などを求める。
「外来腫瘍化学療法診療料1〜3」に共通する事項では、既存の「抗悪性腫瘍剤の投与その他の必要な治療管理を行った場合」の評価を、抗悪性腫瘍剤の投与がある場合と投与以外の治療管理を行った場合に分割。前者は抗悪性腫瘍剤の投与がある場合の4回目以降の評価に位置づけ直す。また全体の評価を引き上げ、見直し後の点数設定は、(1)診療料1=初回から3回目まで800点、4回目以降450点、抗悪性腫瘍剤の投与以外の治療管理350点(以下同じ順序)、(2)診療料2=600点、320点、220点、(3)診療料3=540点、280点、180点―とする。
「診療料3」が新設されたことを受け、「診療料1」の施設基準に追加の規定が設けられた。具体的には、「診療料3」の届出医療機関の患者が、緊急時に診療を行う連携体制を構築している場合には、あらかじめ地方厚生局等に連携先医療機関の名称を届け出ることとされた。実際に「診療料3」の患者が、緊急的な副作用等で「診療料1」の医療機関を受診した際には、「診療料1」の医療機関は抗悪性腫瘍剤の投与以外の治療管理を行った場合の点数(350点)を算定できるようにする。