くも膜下出血は,多くは脳動脈瘤の破裂により,くも膜下腔に出血をきたした状態である。再出血を防ぐこと,次に脳血管攣縮による遅発性脳虚血を防ぐことが,急性期治療の目的である。
突然の激しい頭痛で発症することが多い。意識障害があり搬送されるような症例では,頭部CT検査による診断は比較的容易である。しかし,意識障害がなく,頭痛症状でウォークインで受診する症例もあるので,頭痛で受診した症例では発症様式を確認し,軽症のくも膜下出血を見逃さないことが非常に重要である。くも膜下出血と診断したら引き続いてCT angiography(CTA)検査を行い,出血源を同定する。
初期治療は,時間との勝負ではなく,まず再破裂の防止に細心の注意を払う。除痛,鎮静,制吐を図りながら,血圧管理を行う。収縮期血圧140mmHg以下を目安に降圧を行う。鎮静前に,強い刺激を与えることなく,神経所見を観察し重症度を判定する。
CTA検査で出血源の脳動脈瘤が同定されたら,通常は発症同日に開頭クリッピング術あるいはコイル塞栓術による根治的治療を行っている。
手術適応は,神経学的重症度,動脈瘤の部位,形状,大きさ,全身状態などから総合的に判断される。重症のgrade Ⅴでも全身管理,頭蓋内圧管理により,神経所見の改善がみられる場合にはコイル塞栓術を検討する。
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