厚生労働省の「新たな地域医療構想等に関する検討会」は5月22日、関係団体や有識者からのヒアリングを行った。発言者からは、構想区域の設定について地域の実情に応じた柔軟な運用を認めるよう求める意見や、地域構想推進のために実施した各種施策の事後検証を行う仕組みの構築を求める意見などが示された。
2回目となった今回のヒアリングでは、医療関係団体、保険者、行政担当者、有識者の構成員や参考人の7名が意見陳述した。
このうち伊藤伸一構成員(日本医療法人協会会長代行)は、地域における医療提供体制の最適化のためには、民間病院と公的病院の特性を徹底的に分析し、有効活用する必要があると指摘。特に地域包括ケアシステムのもとで中核的な役割を果たしている民間病院の有効活用が新たな地域医療構想を加速させる重要な要因になるとの認識を示した。地域医療構想の進め方では、各種施策の効果を経時的に検証・公表する仕組みの構築を提案し、好事例とされた地区のその後の対策の効果の情報公開や、重点支援地区の中長期にわたる効果の検証とデータ公開などをその具体例に挙げた。
河本滋史構成員(健康保険組合連合会専務理事)は、新たな地域医療構想の目的について、「患者が必要なときに迅速に必要な医療を受けられることが一番の肝であり、医療機能のさらなる分化・強化と介護を含めた連携により、過不足のない最適な医療・介護提供体制を構築する必要がある」と主張。その実現にあたっては、①医療需要の適切な推計、②構想区域の柔軟な設定、③医療・介護資源の最適配置と連携、④医療DXの推進などによる医療の質向上と効率化―などが重要な論点になるとした。
岩井志奈参考人(東京都保健医療局医療政策担当部長)は、新たな地域医療構想は現在のように全国一律の対応ではなく、都道府県の実情に応じた柔軟な対応を可能とするべきだと要望。医療・介護全体での体制構築が必須となることから、病床に関連した指標だけにとどまらない複数の適切な指標を国が示すことで、都道府県が地域の現状を的確に捉えて自律的に今後の対応を判断できる環境を整えるべきだとも提言した。