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2024年度診療報酬改定で往診・訪問診療はどう変わる?〈提供:株式会社 on call〉

No.5225 (2024年06月15日発行) P.12

登録日: 2024-06-18

最終更新日: 2024-06-18

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高齢化の進展により、往診・訪問診療といった在宅医療のニーズが増え続ける中、6月1日より施行された2024年度診療報酬改定においては、夜間・休日の往診加算が大幅に引き下げられた。これを受け、コロナ禍に急増した患者向け往診サービスが相次いでサービス終了や縮小を発表した。今改定の評価見直しによる在宅医療への影響を、ポイントとなる点数の変化を中心に解説する。

2024年度診療報酬改定では「質の高い訪問診療・訪問看護の確保」が焦点の1つとなった。需要が拡大する在宅医療の受け皿となる医療機関を増やすため「在宅療養移行加算」等の見直しを行う一方、看取りの実績が少ない医療機関や、不定期緊急的な往診サービスについては大幅な減算のメスが入った。

「在宅療養移行加算」は上位区分を新設

在宅療養支援診療所や在宅療養支援病院(以下、在支診等)以外の診療所による訪問診療を評価する「在宅療養移行加算」は、算定対象施設を病院まで拡大。現行の2区分に加え、連携する医療機関に対し、患者の診療情報や急変時の対応方針等を、定期的なカンファレンスの実施またはICT等の活用により常に確認できる体制の整備で適切に提供することを要件に含める上位区分が新設、4区分に再編された。

在支診等以外の医療機関から訪問診療を受けている患者の急変時に、連携する在支診等が往診した場合を評価する「往診時医療情報連携加算」(200点)も新設。同加算も算定には定期的なカンファレンスの実施またはICT等を用いた情報の共有が必要となる。

頻回訪問・かかりつけ以外の往診の適正化

「在宅患者訪問診療料」は、過去3月の患者1人あたりの平均訪問回数が12回を超える在支診等について、超過した翌月1月に限り、5回目以降の評価を所定の50%で算定するという見直しが行われた。

往診については、①往診を行う医療機関で過去60日以内に訪問診療を行っている患者、②往診を行う医療機関と連携する医療機関において過去60日以内に訪問診療を行っている患者、③往診を行う医療機関の外来で継続的に診療を受けている患者、④往診を行う医療機関と平時からの連携体制を構築している介護保険施設に入所する患者─の4要件いずれにも該当しない患者について、夜間・休日往診加算が最大1700点から405点に、深夜往診加算が最大2700点から485点に引き下げられた()。

これらの適正化は他の医療機関の往診を請け負う専門クリニックや民間サービスには大きな減算となる。普段から訪問診療や外来を受診する患者については据え置かれ、「時間外対応加算」には非常勤職員等の対応を評価する加算が新設、施設基準が緩和された。地域のクリニックによるかかりつけ医機能を重視した訪問診療、往診は評価される流れとなっている。患者向け往診サービスの減少により、地域のクリニックには往診のニーズ増加が見込まれるだろう。

往診体制構築の課題を解決するサービス

クリニックにとって往診体制の構築・維持の課題となるのはスタッフの採用やシフト調整だ。当直医師や夜間スタッフの採用はコストがかかる上に離職率が高く、入れ替わりも発生しやすい。常勤医のみで夜間・休日対応を行う場合は過重労働となり、往診体制の継続が難しい場合も多い。現役医師である符毅欣氏が代表を務める株式会社on callの提供する「ON CALL」は、こうした課題を抱える地域のクリニックの夜間・休日のオンコール対応を支援するサービス。現在の対応エリアは1都3県(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)。導入施設は76施設、総対応件数は7,000件に上る。

ON CALLの高い医療の質を支えるのはチーム化された往診体制と、独自開発システムを活用したスムーズな情報共有だ。医師と往診ディレクター(看護師または救命救急士)が2名体制で対応することでさまざまなケースへの対応を可能にし、現地でのトラブルを最小限に抑えている。若手医師を中心に完全紹介制で採用された医師がチームを編成し、患者やクリニックからの評価に加え、医師とディレクターの相互評価も行うことで高い医療の品質を維持している。往診案件の管理には自社開発のシステムを利用し、医療機関は往診医師の対応をリアルタイムで確認できるほか、カルテ情報も共有。日常の診療と、ON CALLが代行する往診を切れ目なくつなげることができる。

訪問診療を始める際の心強いパートナーに

ON CALLは、すでに訪問診療に取り組むクリニックにとってはコスト削減や、24時間体制構築の大きな手助けとなる。今改定では「生活習慣病管理料」が大幅に見直され、慢性疾患の診療を行ってきたクリニックは減収が見込まれる。外来診療のみだったクリニックも、こうしたサービスの利用で、訪問診療を始めるハードルを下げることができる。自院の収益構造を見直し、地域医療へ貢献しながらストック型の収益が見込める訪問診療の開始を検討するのもよいだろう。

符代表に「ON CALL」の魅力について聞きました

─創業のきっかけを教えてください

長野県で地域医療に携わる中で、訪問診療を行う医師の高齢化や、夜間休日体制の脆弱さといった在宅医療の構造的な問題を痛感し、「若い医師が在宅医療をサポートする体制を作ることで、在宅医療の課題を解決できるのではないか」と考え、創業を決意しました。

─往診代行サービス「ON CALL」の強みはどこですか

医療の質を担保するということに強いこだわりを持っています。医師から医師へのフィードバックが質を担保する大きなポイントです。当直医師や往診ディレクターの勤務開始時には社内の医師が作成したマニュアルをもとにしっかりと説明・研修を行うため、現場で柔軟な対応が可能です。完全紹介制で実際に働いている医師からの紹介なので、やりがいや気を付けた方がいい点などを共有した上で勤務を始めてもらえることも大きいです。

コールセンターに医療従事者を配置していることも特長で、患者や医療機関との連携を看護師がサポートすることで、当直医師が診療に集中できる環境を整えています。

─サービスを利用するとどんなメリットがありますか

常勤医1人で往診体制を支えてきたようなクリニックの先生にご利用いただくことも多く、休みを取って家族との時間をとれるようになったというお声をよくいただきます。看護師をはじめとしたスタッフの負担軽減にもつながり、離職率が下がったというクリニックも多いです。規模の大きい病院等では、我々のような専門サービスに任せることで、採用費や維持費を削減できるため、コストメリットを感じていただくことが多いです。常勤の先生方が、無理なく通常の診療に集中できる環境を作れますので、患者さんにとってもメリットが大きいと思います。

─今後の展望について教えてください

現在の医療の質を維持しながら、まずは患者数の多い大都市圏を中心にサービスを拡大していく予定です。全国の地域医療をサポートできるサービスを提供し、患者さんがどこにいても質の高い在宅医療を受けられる社会を実現することが最終的な目標です。

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