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【Doctor's Voice ②】標準治療で限界に達したがん患者さんを救いたい─独自の免疫治療で癌の予防医療も追求[クリニックが取り組む自由診療]

登録日: 2025-02-17

最終更新日: 2025-02-19

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まきクリニック
院長 齋藤 載次先生


https://www.maki-clinic.jp/

愛知県名古屋市中区大須3-30-60 大須301ビル4F
地下鉄鶴舞戦・名城線「上前津」駅徒歩2分


海外医薬品を使用し治療することに至った背景を教えてください。

私が海外医薬品を使用しているのは、がん患者さんに免疫治療を行うためです。ご自分の血液から採りだした免疫細胞を培養し活性化させた上で身体にもどし、更に低用量の免疫チェックポイント阻害剤を併用することにより強化された自己の免疫力でガンを攻撃する治療法です。免疫チェックポイント阻害剤には複数の適応症があるものの、国内流通品は事実上大病院で、かつ条件付きでなければ保険適用が認められていません。そのため、保険適用の条件に合わない癌種の患者さんや、例えば低用量の使用を求める患者さんには、現状では個人輸入による海外医薬品に頼らざるを得ないのです。

その免疫細胞治療についてもっと詳しく教えてください。

リンパ球を用いた免疫細胞療法は、1980年に日本の学会で初めて報告されたがん治療法です。 がん治療だけでなく、手術後の再発予防にも効果が期待できることが報告されています。手術や化学療法を受けられない患者さんでも免疫細胞療法を受けることができるメリットがあります。また免疫細胞療法は、患者さんの血液から免疫細胞を抽出し、培養、活性化して体内に戻し、自己免疫系の強化を通じてがんを攻撃する治療法です。患者さんの細胞を利用するため他のがん治療に比べて副作用が小さいとされ、手術、化学療法、放射線治療後のがん治療としても注目されています。まきクリニックでは免疫細胞の中で最も強力なNK細胞の培養と活性化を横浜鶴ヶ峰病院の培養検査室に依頼しています。韓国や中国などに免疫細胞培養の技術指導を行っている高度な医療機関です。

保険外診療の基準が厳しい韓国や台湾からの患者も増えている

この治療を行って成功したこと、ポジティブな結果はございますか。

一部の患者さんではありますが、驚くほどの治療効果がありました。「あとは緩和ケアしかない」と言われた状態から、数年生存できた患者さんがいるのです。例えば標準治療で240mgの投与が定められている薬を、当院で10~20mgの少量だけを投与し、ほとんど副作用なく命を長らえた末期がん患者さんが何人もいらっしゃいました。(2022年のインドでの臨床試験で、標準量のわずか5〜9%の低用量のOpdivoが頭頸部がんの患者さんの生存率を著しく向上させるという研究結果が発表されています。)

そうした症例の結果を見てか、当院はごく小さい規模で免疫治療を続けているのですが、大きな病院の医師から個人的に患者さんの相談や紹介を受けることがあります。また、自身ががんを患っている医師の受診もあります。

また、最近は韓国や台湾の患者さんがどこからか当院の治療を聞きつけ、受診されるケースも増えています。

癌の予防治療も提供していると聞きました。どのような治療でしょうか。

2024年3月に東京大学医科学研究所が「抗PD-1抗体(Opdivo)は老化細胞の免疫監視を強化し、老年病・生活習慣病を改善する」という研究発表をしました。老化細胞がPD-L1を発現しているため、免疫チェックポイント阻害剤であるOpdivoを投与すると免疫細胞により老化細胞が除去され、様々な臓器や組織の老化を改善できることが分かったというものです。

しかし、量にもよりますが抗PD-1抗体には免疫暴走のリスクもあり、そのようなリスクを犯してまで若返り治療をしたいという人は少ないでしょう。ところが、NK細胞療法+「超」低用量のOpdivoであれば免疫暴走のリスクはかなり低く抑えられ若返り効果が得られると考えています。

我々は若返り治療ではなく主に癌の予防治療としてこの治療法を行っています。CTC検査で癌細胞が検出された人に5回ほどこの治療を行うと、治療後のCTC検査では癌細胞が消えていることがほとんどです。

世の中の予防医療への関心は高まっていると思います。先生の目指している予防医療・今後の展望について聞かせてください。

予防医療に関しては、重要なのはそれなりのエビデンスがあり「長続きするよう簡便」で「しかも低コスト」のものが基本であると思います。そういう意味では、がんの予防に高額な免疫細胞治療を勧めるなどはもってのほかと考えます。例えば、ビタミンD3(1,25(OH)2VD3)を5,000 I.U.以上毎日摂るとかです。がんに対する予防効果その他の効能があるとされます。韓国では通常の検診で血中ビタミンD3濃度を測り、低値だと摂取を勧めているそうです。そんな事まで韓国の後塵を拝しているとは思いも寄りませんでした。

今後の展望は、「その治療にはエンビデンスが無い!」という標準治療の先生方からの批判は真摯に受けつつも、NK細胞治療+低用量免疫チェックポイント阻害剤の治療で一人でも多くの患者さんを救うことを継続したいと考えています。これまでステージ4のがん患者さんを20人以上もCR(完全寛解)に持って来ました。「本当にガンが消えたかどうか分からないだろ?」と意地悪を言う勿れ。CRになってから既に8年以上経っている患者さんが複数います。もちろんエビデンスは大事ですが、患者さんにとっては結果が全てです。

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