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慢性疾患管理におけるデジタルヘルス活用の現状と可能性について

No.5227 (2024年06月29日発行) P.49

神谷健太郎 (北里大学医療衛生学部教授)

金居督之 (金沢大学融合研究域融合科学系准教授)

登録日: 2024-06-26

最終更新日: 2024-06-25

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  • 慢性疾患管理におけるデジタルヘルス活用の現状と可能性についてご教示下さい。
    金沢大学・金居督之先生にご解説をお願いします。

    【質問者】神谷健太郎 北里大学医療衛生学部教授


    【回答】

    【効果は期待されるが,普及には課題がある】

    デジタルヘルスは,情報通信技術(information and communication technology:ICT)を医療・介護・健康支援全般に活用する包括的な概念を意味します1)

    ICTには,ゲノム情報や電子健康情報などの医療ビッグデータ,人工知能,拡張現実などのデジタル技術が含まれます1)。慢性疾患管理においてデジタルヘルスを活用する利点として,デジタルデバイスの活用によって生体データを遠隔でモニタリングすることが可能なこと,生体データを経時的に確認することによって診断や治療の精度が向上すること,生体データの可視化によって患者の行動変容が促進し症状改善が期待されること,などが挙げられます。

    慢性疾患の中でも,特に高血圧や糖尿病に対するデジタルヘルス活用の効果検証が数多く報告されており,疾病管理の改善効果が報告されています2)3)。また,これらの患者に対する治療用アプリの開発や保険収載の事例が国内外で報告されています。アプリを処方することによって,患者の疾病管理の改善効果が得られるだけでなく,高い費用対効果も期待されます。さらに,心血管疾患に対するデジタルヘルス活用も進歩しており4),治療経過の把握のために日々の体重の変動や心電図・不整脈のモニタリングを行うだけでなく,遠隔心臓リハビリテーションへの応用も進んでいます。

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