【概要】厚労省は12月19日、2015年度介護報酬改定の審議報告案を介護給付費分科会に示した。中重度者への対応や在宅を手厚くする一方、特養やデイサービスの基本報酬を抑制する。
審議報告案では、収支差率が高く内部留保が巨額として問題視されている特養について、基本報酬の「適正化」を明記。デイサービスも事業所の規模に応じた基本報酬の適正化が盛り込まれた。
一方、中重度者に対応している実態を踏まえ、介護療養病床の機能は「今後も確保」するとした。
在宅高齢者に対する通所・訪問リハビリテーションも充実させる。日常生活での行動改善に焦点を当てた「生活行為向上リハビリテーション(仮称)」の導入と、リハビリテーションマネジメントの見直しが柱だ(別掲)。生活行為向上リハは、デートやパチンコなど利用者が取り組みたい日常生活上での行動を目標に、訪問リハと通所リハを組み合わせる。訓練期間は6カ月間を限度とし、前半の「通所訓練期」の報酬を後半の「社会適応訓練期」より高く設定する。
マネジメントの見直しとしては、本人や家族に対するリハビリテーション計画の説明・同意を医師が必ず行うことが明確化された。多職種での情報共有や業務プロセス改善を推進するための書式も新たに設ける。厚労省は通所リハのリハビリテーションマネジメント加算の要件にこれらの仕組みを導入することを追加し、報酬を引き上げる方針だ。
●処遇改善加算は継続・拡充
改定を巡る議論で焦点の一つとなっていた「介護職員処遇改善加算」は継続する。新たな加算を設け、待遇改善に積極的な事業所に報酬を手厚くする。処遇改善加算は、賃金体系の整備など2つのキャリアパス要件のどちらかを満たすことなどが必要。新たな加算では、キャリアパス要件のいずれも満たし、近年新たに実施した賃金以外の処遇改善の内容を提出書類に記載するよう求める。