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非アルコール性脂肪肝炎(NASH)〔メタボリック関連脂肪肝炎(MASH)〕[私の治療]

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  • ▶治療の実際

    【2型糖尿病にMASHが合併している場合】

    SGLT2阻害薬は,肝脂肪化の改善,ALTの低下作用が多数報告されている。GLP-1アナログ製剤やピオグリタゾンは,RCTでMASHの病理学的な改善が報告されている。

    一手目 :デベルザ20mg錠(トホグリフロジン水和物)1回1錠1日1回(朝食後)

    二手目 :〈処方変更または血糖コントロールとしても不十分であれば一手目に追加〉オゼンピック注(セマグルチド)1回0.5mg 週1回〔皮下注,朝または夕(アドヒアランスを考慮し就寝前でもよい)〕

    三手目 :〈処方変更または一手目に追加,もしくは一手目and/or二手目に追加〉アクトス30mg・15mg錠(ピオグリタゾン塩酸塩)1回1錠1日1回(朝食後)

    なお,メトホルミンは,MASHに対する直接的有効性に関するエビデンスはないが,肝癌の発生に抑制性に働くことが海外のメタアナリシスで報告されている。一方,重篤な肝障害には禁忌である。

    【高血圧症にMASHが合併している場合】

    ACE阻害薬やARBは,肝線維化に抑制性に作用することが報告されており,MASHの病態改善に寄与する可能性が考えられるが,効果は比較的マイルドである。

    一手目 :オルメテック10mg・20mg錠(オルメサルタン メドキソミル)1回1錠1日1回(朝食後),またはアバプロ50mg・100mg錠(イルベサルタン)1回1錠1日1回(朝食後)

    【過酸化脂質の増加にMASHが合併している場合】

    一手目 :ユベラ50mg錠(トコフェロール酢酸エステル)1回1~2錠1日2~3回(食後)

    【高中性脂肪血症にMASHが合併している場合】

    一手目 :パルモディア0.1mg錠(ペマフィブラート)1回1~2錠1日2回

    【MASHに瘙痒症が合併している場合】

    MASLDの約40%の症例で皮膚の瘙痒症を有していると報告され,抗瘙痒薬として以下の薬剤を用いる。

    一手目 :レミッチ2.5μg OD錠(ナルフラフィン塩酸塩)1回1錠1日1回(夕食後または就寝前)

    【肝硬変に進行した場合】

    一手目 :リーバクト配合顆粒(イソロイシン・ロイシン・バリン)1回1包(4.15g)1日3回

    代償性肝硬変であれば,減量の継続と併存症の治療を継続する。非代償性肝硬変に進展している場合は,それに対応した食事・運動療法を行うが,運動療法に関する十分なエビデンスはない。なお,末期肝不全症例には肝移植が治療適応となる。

    ▶ケアおよび在宅でのポイント

    生活習慣病全般と同様,食事・運動療法の継続が大前提であり,その変容と継続の支援のみならず,ドロップアウトやリバウンドを意識した診療姿勢や家族の協力が必要であり,多職種の医療職や一般,患者,患者家族らを対象として各都道府県で養成される肝炎医療コーディネーターの活躍も期待されている。

    ▶専門家へのコンサルト

    血液検査(血小板減少や肝線維化マーカー高値例等)や画像検査での肝線維化進展が予想される症例(ステージ2以上が理想。前肝硬変状態であるステージ3以上は必須)は,一度は最寄りの肝臓専門医への受診と正確なステージング,その後の病診連携での継続加療が勧められる。

    【文献】

    1)Rinella ME, et al:J Hepatol. 2023;79(6):1542-56.

    2)日本消化器病学会, 他, 編:NAFLD/NASH診療ガイドライン 2020. 改訂第2版. 南江堂, 2020.

    江口有一郎(ロコメディカル総合研究所所長)

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