厚生労働省は8月2日、介護サービス事業者の経営情報の報告制度について運用上の留意事項などを示した通知を都道府県に送付した。制度創設初年度となる24年度は24年3月末から同年12月末までに終了する会計年度の経営情報について、25年1〜3月末までの間に報告するよう求めている。
24年4月1日に施行された改正介護保険法で、介護サービス事業者は都道府県に経営情報の報告を毎年行うこととなった。これは3年に1度行われている介護事業経営実態調査を補完する精度の高いデータを得ることが狙い。国は収集した経営情報をデータベース化して管理するとともに、属性に応じてグルーピングした分析結果を公表することになっている。
通知によると、原則としてすべての介護サービス事業者が報告を行うことになるが、例外として①過去1年間に提供した介護サービスの対価として支払いを受けた金額が100万円以下の場合、②災害など報告を行うことができない正当な理由がある場合―は免除される。報告項目は、事業所・施設の基本情報、収益および費用の内容、職員の職種別人数など。職種別の給与・賞与は23年8月から先行導入されている医療法人の経営情報の報告制度と同様、任意報告項目に位置付けられている。
報告は毎会計年度終了から3カ月以内に、国が運営する「介護事業財務情報データベースシステム(仮称)」(以下システム)を使って行う。ただし、24年度(24年3月末〜12月末までに終了する会計年度の報告)に限っては、会計年度の終了時期にかかわらず25年1〜3月末に報告することとされた。国は秋頃にシステムの運用マニュアルなどを公表する方針を明らかにしている。
一方、既存の介護サービス情報提供制度についても、利用者への情報提供を充実させる狙いから、24年4月1日付で介護サービス事業者に財務状況の公表を求める見直しが行われている。この関連の留意事項について厚労省は、今回の通知とは別に改めて明示するとしている。