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婉曲な表現を理解できない患者[病院トラブル─事務方の解決法〈season 2〉(7)]

No.5249 (2024年11月30日発行) P.61

大江和郎 (元東京女子医科大学附属成人医学センター事務長)

登録日: 2024-11-27

最終更新日: 2024-11-26

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院内には部外者の立ち入りや,撮影を禁止としているエリアがあります。最近はそのようなエリアにもかかわらず,立ち入ってしまう患者や来訪者が増えました。ちゃんと表示もしてあり,もちろん日本語で書いてあるのに,です。表記や表示の仕方で工夫できることはないでしょうか。

事務長の見解

「ご遠慮下さい」などの婉曲表現は伝わらない!「禁止」など明確な表示で施設内の安全を守ろう!

詳しく解説すると……

◆想像力のない人の増加

ある病院の事例です。事務職員が「『院内での撮影はご遠慮下さい』と掲示しているのに気づきませんでしたか」と患者に尋ねると,「知っていたよ,だから遠慮しないで撮影したんだ!」と反論されました。職員は「遠慮下さいということは,撮影禁止という意味ですよ」と伝えましたが,「それならば,はっきり禁止と表示すればよいではないか」とさらに反論され,職員はあきれて何も言えなかったとのことでした。

院内には「この先の立ち入りはご遠慮下さい」「待合室での通話はお控え下さい」といった表示などをしています。それにもかかわらず無視する人がいます。このような方に対し注意するも,「禁止と書いていないではないか」「控えめに小声で電話しているのがなぜ悪いんだ」と逆ギレする人がいます。表示の文言は,遠回しの表現を使って「わかって下さい」という意味なのに,禁止しているということすらわからず,「ダメではない」と勘違いする人が増えてきています。

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