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医学生向け留年・国家試験対策の個別指導塾とは〜橋本将吉(医学生道場代表/内科医)【この人に聞きたい】

No.5251 (2024年12月14日発行) P.8

橋本将吉 (医学生道場代表/内科医)

登録日: 2024-12-17

最終更新日: 2024-12-16

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年々難化する医学部の進級試験や医師国家試験を
突破するための効率的な勉強方法を指導し、
一人でも多くの医師を世に送り出したい

はしもと まさよし:2011年株式会社リーフェ(現 株式会社リーフェホールディングス)創業。12年杏林大学医学部卒。北海道八雲総合病院初期臨床研修修了後、医療法人社団洪庵会、医療法人徳洲会などでの臨床経験を経て、19年東京むさしのクリニック開業。

─医学生に向けた個別指導塾を立ち上げた理由を教えてください。

私自身の経験から、医学部での学習を乗り越えるには一人ひとりに合った指導が不可欠だと感じたからです。私の母はいわゆる「教育ママ」で、過酷な中学受験を経て中高一貫校から医学部に進学しました。あまり強く医療に興味があったわけではなく、漠然と「医者になるんだな」というような感覚で医学部を選んだこともあり、入学後は大きな壁に突き当たりました。授業は専門分野ばかりでほとんど理解できませんでしたし、基礎医学は大嫌いでした。個性豊かな同級生と平凡な自分を比べ、真剣に悩んだりもしました。

私のような悩みを持つ医学生に向けて、集団指導ではなく、一対一で全力で挑んでくれる塾が、日本に1つぐらいは必要なのではないかと思い、医学生道場を立ち上げたのです。

新型コロナの影響で医学生の学習環境が悪化

─医学部の進級は年々厳しくなっているようですね。

医学生のお子さんを持つ親御さんの時代とは大きく変わっていると感じます。主な変化は、医療の高度化に伴い低学年で学ぶ基礎医学のボリュームが増えたこと、臨床実習に入る前に医学知識を問うCBTと基礎的な臨床能力を問うOSCEが必須となり対策が必要になったこと、国際基準に対応するため臨床実習が前倒しになり実習時間が増えたことなどです。優秀な学生が6年間勉強漬けでやっと卒業できるというのが医学部の現状です。

そして新型コロナウイルスのパンデミックによる影響も大きいと感じています。病院実習に行くことができなかったり、狭い密な空間で行うため解剖実習がカットされたり、入学式すら行われない年もありました。学校に通えず、友達ができないなどコミュニケーションをとる方法がない中で、医学を一人で勉強しなければいけないのは非常に過酷です。

全国に8校舎を構え、対面指導を実施

─医学生道場ではどのような指導を行っているのですか。

物理的に通えない場合を除き、対面の個人指導にこだわり、現役の医師がマンツーマンで授業を行います。そのため東京、名古屋、大阪、福岡に計8つの校舎を構え、現地の先輩医師に指導を受けながら、その背中を見て医療人として成長してもらえるような環境を整えています。

医学部を卒業した医師は、医学部の進級に必要なノウハウについて「大学受験の勉強方法とはまったく異なる」と口を揃えます。医学部のカリキュラムは、科目数も専門性も必要な勉強時間もすべてにおいて受験勉強とはレベルが違うのです。読者の先生方はご存知の通り、医学部での勉強量は膨大です。留年しないためには、効率のよい自分に合った勉強法を見つけることが大切になるのです。

自分に合った勉強法を見つけるには個別指導が最適です。なぜなら個別指導を通じて、自分の強みが明確になるからです。初回授業では、何が得意で何が苦手なのかを講師がヒアリングし、①現状把握、②優先順位、③目標設定、④課題の把握、⑤モチベーションの継続─の5項目にもとづき戦略を立てます。医学部では全員が同じ講義を受けますが、理解の速度は全く異なります。だからこそ個別指導塾で学習戦略を立て、自分に合ったスタイルで学習に取り組むことが大切なのです。

また10年にわたり医学生へ個別指導を行って積み上げたノウハウも医学生道場の強みです。基礎医学は暗記が勝負になります。大切なのは暗記の方法ですが、脳の記憶の仕組みを活用したコツが存在します。医学生道場では、個別指導一筋10年以上の経験で培った暗記のコツを身に付けることができます。

─勉強以外の部分の悩みの相談も多いそうですね。

「医学部に入ったけど、自分が将来どのような医者になりたいかわからない」「何科に進もうか悩んでいる」「初期臨床研修病院の選び方」など、将来について悩んでいる医学生が多く、先輩現役医師である講師が寄り添い、アドバイスします。個別指導だからこそ、さまざまな現役医師から医療現場の楽しさや臨床経験などを知ることができ、自分の将来像がより具体的になります。

そのため講師の質にもこだわりを持っています。現在約80人の講師が在籍していますが、採用倍率は30倍以上と厳しい基準を設けています。教えることに情熱があり、臨床医だけでなく基礎医学を指導できる博士号を取得した研究医など医師としてのキャリアも兼ね備え、生徒の手本となるような講師を全国に確保しています。

思考力の重要性が増す医師国家試験

─医師国家試験の対策はどんなポイントがあるのでしょうか。

国家試験も年々難化が進んでいます。医師である親御さんに問題を解いてもらうと「専門医レベルじゃないか」と驚かれます。また暗記だけでは太刀打ちできないような思考力を問う内容が増えてきています。臨床現場で必要な知識を想定して、基礎医学から論理を組み立てていく習慣をつける必要があるのです。

国家試験対策で大切なのは、勉強法とスケジュール管理だと考えています。医学生道場では生徒が今使っている教材を深堀りして、基礎から学んでいく勉強法を身に付けられるよう個別で徹底的に指導を行うことで、重要な過去問に取り組む時間の確保など効率的なスケジュールを生徒と一緒に組み立てていきます。

学生らしい生活を送るためのサポート

─今後の抱負を教えてください。

医師の養成には多額の国費が投じられています。せっかく難関を突破して医学部に入学したのに、進級できなかったり、国家試験に合格できずに医師として活躍できなかったりするのは社会の大きな損失です。

医学生道場では、勉強に明け暮れるだけではなく部活やサークル、アルバイトなどの学生らしい生活も楽しんでもらえるように、効率的な学習方法を身に付けるための個別指導を行っています。医学生に寄り添い、地域を支える医師になってもらうサポートをすることで社会に少しでも貢献できればと考えています。

(聞き手・土屋 寛)

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