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かぜとその周辺 〜基本編〜[〈from総合医育成プログラム〉プライマリ・ケアで役立つクリニカルパール(8)]

No.5255 (2025年01月11日発行) P.6

谷崎隆太郎 (市立伊勢総合病院内科・総合診療科副部長)

登録日: 2025-01-09

最終更新日: 2025-01-07

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感染症編 日本プライマリ・ケア連合学会監修

本連載では,日本プライマリ・ケア連合学会/全日本病院協会が実施している「総合医育成プログラム」の中から,選りすぐりのクリニカルパールを紹介します。現場のニーズを熟知しているエキスパートが,プライマリ・ケア医にとって「まさにそこが知りたかった!」というポイントをわかりやすく解説します。

今回のクリニカルパール典型的なかぜとは,「せき・はな・のど」の症状が,同じような時期に,同じような強さで出現し,1週間程度で自然に改善するものである。
かぜと診断したら,抗菌薬は使用しない。

1 典型的なかぜとその周辺疾患(表1)

まずは,典型的なかぜについて知っておきましょう。典型的なかぜとは,「せき・はな・のど」の症状が,同じような時期に,同じような強さで出現し,1週間程度で自然に改善するものを指します。咽頭痛や喉の違和感,倦怠感や微熱などで発症し,それに加えて鼻汁や鼻閉,そして咳,痰などが付随して,発症から2~3日で症状のピークを迎え,7~10日以内に改善する。これが典型的なかぜの経過です1)

かぜにしてはせき症状が強い場合は,気管支炎や肺炎の可能性を考え,はな症状が強い場合には,急性鼻副鼻腔炎の可能性を考えます。同様に,のど症状が強い場合には,咽頭炎の鑑別が必要です。逆に言えば,「せき・はな・のど」のいずれの症状もないものを,安易にかぜと診断してはいけません。

そして,かぜは特異的な治療をすることなく自然に改善しますが,初療の段階ではそれがわからないので,自然に改善した経過を見てはじめて「かぜだった」と診断できる病気でもあります。つまり患者さんに対しては,初発症状の時点で,かぜと断定した説明は避けるべきであり,「現時点ではかぜでよいと考えるが,あとから他の症状が出現したり,悪化したりした場合には,かぜではないので,その際は再度相談するように」と説明することが重要です。

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