厚生労働省は1月21日の「医師養成過程を通じた医師の偏在対策等に関する検討会」に2026年度の医学部臨時定員の配分方針案を提示し、了承された。医師多数県の臨時定員数は原則削減するが、若手医師が少ない、または高齢医師が多いなど地域特有の事情がある場合には定員の復元を認める配慮措置を講じる。
厚労省の需給推計によると、医師の需給は29年頃に均衡し、その後は供給過剰に転じることが見込まれる。このため今後の医師養成では医師偏在対策と併せ、マクロの視点では医学部定員数の適正化が求められる。
こうした背景から厚労省は26年度の医学部臨時定員について、(1)医師多数県の臨時定員の調整、(2)医師少数県の意向を踏まえた調整、(3)残余臨時定員数の調整―の順で配分・調整を行う案を検討会に提示した。
(1)では医師多数県の臨時定員について、まず25年度臨時定員から24年度臨時定員に0.2を乗じた数を減算。その上で、①恒久定員100人当たり、26年度までに恒久定員内地域枠を4人以上設置する等、さらなる県内の偏在是正が必要な場合は24年度の臨時定員に0.1を乗じた数を復元する、②前出の復元に加えて、「35歳未満の若手医師の割合が全国下位の1/2」または「75歳以上の高齢医師の割合が全国上位1/2」のいずれかに該当する場合は、24年度臨時定員に0.1を乗じた数を復元する―調整を行う。
(2)では医師少数県について、臨時定員の要件を満たしつつ教育・研修体制が維持される範囲内で25年度比増となる意向がある場合は、原則、意向に沿った配分を行う。
(1)、(2)の実施後も臨時定員総数が25年度の総数に達しない場合には、(3)として25年度臨時定員総数の範囲内で、さらなる県内の偏在是正が必要な医師少数区域がある医師中程度県で25年度比増となる意向がある場合は、医師少数区域等に従事する枠となっているか等、地域枠の趣旨の範囲内で配分を行うこと、臨時定員研究医枠の25年度比増希望がある場合は、その趣旨の範囲内で配分を行うことで調整を図るとした。
同日の検討会では27年度の医学部定員について、医師偏在対策を行いつつ、今後の生産年齢人口の減少、外来医療や急性期入院医療の需要減などを考慮し、地域の医師確保に大きな影響が生じない範囲で医学部臨時定員の適正化を図っていく方向性も確認された。