株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

変形性関節症(OA)に対する再生医療を含めた治療戦略について

No.5264 (2025年03月15日発行) P.55

中村智祐 (東京医科歯科大学大学院運動器外科学准教授)

井石智也 (兵庫医科大学医学部整形外科講師)

登録日: 2025-03-18

最終更新日: 2025-03-11

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
    • 1
    • 2
  • next
  • 変形性関節症(osteoarthritis:OA)に対する再生医療を含めた治療戦略についてご教示下さい。
    兵庫医科大学・井石智也先生にご解説をお願いします。

    【質問者】
    中村智祐 東京医科歯科大学大学院運動器外科学准教授


    【回答】

    【再生医療は,OAに対する新たな治療選択肢のひとつである。ただし,包括的な関節治療を提供できる膝関節専門医に相談を】

    関節軟骨は血液供給が乏しいため,一度損傷を起こすと組織の再生が難しいことが特徴です。そのため,従来の運動療法やヒアルロン酸関節注射などの治療では,軟骨損傷が病態の起因となる膝OAへの効果は限定的なことがあります。そこで,自然治癒しにくい軟骨の修復や鎮痛効果を目的とする再生医療が注目されています。

    そもそも再生医療とは,患者自身もしくは他者からの細胞や組織を培養などで加工したものを使用すると定義されています。2013年に公的医療保険が適用された再生医療等製品である自家培養軟骨細胞移植術(ジャック®)を皮切りに,現在では19製品が眼科領域や皮膚科領域で適応となり,保険診療下にて使用されています。ジャック®は自己の軟骨を少量のみ採取し,軟骨細胞をアテロコラーゲンに包埋し,培養して軟骨損傷部に移植する手術方法です。現在は外傷による軟骨損傷のみが保険適用ですが,膝OAへの適応に関しても治験が進んでおり,近い将来には膝周囲骨切り術による関節外矯正との併用効果が期待されます。

    残り668文字あります

    会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する

    • 1
    • 2
  • next
  • 関連記事・論文

    もっと見る

    関連書籍

    もっと見る

    関連求人情報

    もっと見る

    関連物件情報

    もっと見る

    page top