株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

頸部神経鞘腫の治療方針について

No.5270 (2025年04月26日発行) P.49

濵田昌史 (東海大学医学部医学科専門診療学系 耳鼻咽喉科・頭頸部外科教授)

嶋根俊和 (昭和大学医学部耳鼻咽喉科頭頸部外科学講座 主任教授/昭和大学頭頸部腫瘍センター・センター長)

登録日: 2025-04-29

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
    • 1
    • 2
  • next
  • 頸部神経鞘腫については,一般的に診断そのものが難しいととらえられていますし,頸部腫瘤以外の自覚症状も乏しいものと思われます。その治療方針について,最新の知見やご自身の経験をふまえ,昭和大学・嶋根俊和先生にご解説をお願いします。

    【質問者】
    濵田昌史 東海大学医学部医学科専門診療学系 耳鼻咽喉科・頭頸部外科教授


    【回答】

    【腫瘍の増大速度,術後麻痺率などを患者さんに説明し,適切な被膜間摘出術を行う】

    これまで頸部に発生した神経鞘腫は,増大速度が緩徐,良性,術後に神経脱落症状が発生する可能性が高いことを理由に経過観察されることが一般的でした。しかし好発年齢は30~50歳で比較的若い世代に多く,経過観察期間は長期に及びます。増大速度は神経の走行方向に年間2~3mm,垂直方向に1~2mm程度とされており,これを考慮すると診断後早期ではなくても,摘出しないと患者のQOLを逆に低下させる可能性もあります。また,腫瘍の最大径が36mmを超えると術後に神経脱落症状の発生が増えるとの報告もあり,手術の選択時期は患者の職業や家庭環境,イベントなどを考慮し決定すべきと考えています。患者さんには,術後麻痺の発生率,80歳時に予測される腫瘍の大きさを提示することが判断材料につながると考えています。

    残り798文字あります

    会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する

    • 1
    • 2
  • next
  • 関連記事・論文

    関連書籍

    もっと見る

    関連物件情報

    もっと見る

    page top