訪問リハビリテーション(以下,リハビリ)は,いまだ入院中に行われるリハビリと同じようにイメージされることが多いため,リハビリ専門職は連携する他職種に内容をわかりやすく伝え,実践する必要がある。その実践は「入院生活を送っている患者」ではなく「在宅生活を送っている,そこに暮らす人」に対して行われるものであるため,基本的な日常生活活動から社会参加まで多岐にわたる。類似した目標であっても,その人の環境・個人因子によって関わり方,進み具合なども異なるため,病院内とは違った「連絡」「連携」となり,また「連絡」か「連携」かを意識して発信する必要がある。
在宅では「身体機能」を良好な状態に保ちながら,「生活機能」の改善・維持を図る支援が中心となる。家事や外出の練習,進行性の疾患では病状が進行していく中で福祉用具などを利用した「入浴」「排泄」の支援などである。目標が達成された後も,生活機能を維持するための自主トレーニングや家族指導,他職種との連携(支援方法,観察ポイントなど)も行う。現在では理学療法士(PT),作業療法士(OT),言語聴覚士(ST)の3職種がそろっている事業所も増えたが,その専門性にのみ特化したサービスを提供できるほど従事者数はまだ充足していない。仮に充足していても「PTによる屋外歩行練習」「OTによる買い物練習」「STによる料金支払い練習」と,1つの活動(ここでは「買い物」)を分割しての関わりは難しいのが現状である。
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