1987(昭和62)年に「社会福祉士及び介護福祉士法」が制定され,介護由来の唯一の国家資格である介護福祉士が誕生した。当時,特別養護老人ホームなどで働くケア職は「寮母」と呼ばれ,主婦層を中心とした現場という認識が浸透していた。しかし,わが国の高齢化の進展が既に見込まれる中,国は,適切な介護サービス供給の基盤づくりに介護従事者の質の確保が不可欠と考え,介護福祉士の国家資格制度を発足させた。
介護福祉士は名称独占の国家資格であり,登録による有資格者だけがその名称を用いることができる。1989(平成元)年度から国家試験が開始され,2024(令和6)年9月末時点で,介護福祉士登録者数は200万人を超えている。そのうち現場で介護従事者として実働しているのは5割程度とも言われており,潜在有資格者が多数存在しているという課題がある。
資格取得ルートは主に①専門学校等で取得するルート,②福祉系高校で取得するルート,③実務経験ルート(3年以上の実務+実務者研修の受講),④ EPAルート(フィリピン等との二国間経済連携協定)がある。他の国家資格制度と比べ,複数の取得ルートが存在することは,介護福祉士の特徴である。また,いわゆる介護職(ケアワーカー)は,介護福祉士の有資格者,初任者研修修了者(旧ヘルパー2級),無資格者などが混在しており,介護保険施設や在宅の介護サービスの現場,障害福祉サービスの現場のほか,看護補助者(看護助手)として医療の現場などで従事している。
そのうち訪問介護サービスに限っては,介護福祉士・介護福祉士実務者研修修了者(旧ヘルパー1級相当)・初任者研修修了者(旧ヘルパー2級)でなければ従事できないが,それ以外の介護職については基本的に資格要件がない。資格要件がないからこそ,近年では外国人材や定年後の元気な高齢者の参入が促進されており,多様な人材構成となっていることも大変特徴的である。
前述のように,介護職チームが多様な人材で構成される中,介護福祉士はそのチームをマネジメントする立場に位置づけられている。2017年10月4日に厚生労働省社会保障審議会福祉部会福祉人材確保専門委員会で示された「介護人材に求められる機能の明確化とキャリアパスの実現に向けて(報告書)」において,「利用者の多様なニーズに対応できるよう,介護職のグループによるケアを推進していくにあたっては,その中でリーダーの役割を担う者が必要であり,その役割を担うべき者としては,介護福祉士の中でも一定のキャリアを積んだ(知識・技術を修得した)介護福祉士が適当である」と明示されている。
限りあるマンパワーで介護の質を向上・維持しながら,効果的・効率的にサービスを提供できるチーム体制を構築することが必要不可欠であり,そのチームマネジメントやサービスマネジメントを介護福祉士が担うべき役割として明確化されたのである。
残り755文字あります
会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する