【概要】新たな保険外併用療養「患者申出療養制度」が今月から始まった。同制度の目玉は、国内未承認の治療の実施可否を、申請から原則6週間以内に審査する迅速性。「スピード審査」を担う厚生労働省の「患者申出療養評価会議」が14日に初会合を開き、今後の制度の運用方法を確認した。
同会議は、福井次矢聖路加国際病院院長を座長とし、臨床医、薬学・生物統計・研究倫理などの専門家、患者団体代表らが委員を務める。
治療が患者申出療養として実施されるまでの流れは図の通り。国内で前例がない治療の場合は、患者が臨床研究中核病院(中核病院)または相談窓口機能を有する特定機能病院を介して国に申請。評価会議は申請から原則6週間以内に有効性・安全性、実施計画の内容を審査する。
前例がある治療の場合は、前例を取り扱った中核病院が原則2週間以内に実施医療機関の体制を個別に審査する。厚労省によると、14日現在、患者申出療養として申請された治療はまだない。
■「かかりつけ医はすぐ中核病院に紹介を」
患者申出療養の利用に関して厚労省は患者に対し、まずはかかりつけ医等の身近な医療機関に相談するよう呼びかけている。一方、かかりつけ医に対しては、中核病院等と連携し、保険外の治療が患者に適しているか、既存の先進医療や参加可能な治験がないかなど、情報収集を行うよう求めている。
14日の評価会議の会合では、「中核病院の実施計画作成から実施までに半年以上かかるのではないか」「かかりつけ医は患者の相談を受けたら直ちに中核病院に紹介すべき」など、治療実施までの迅速性確保に対する指摘が相次いだ。
●用語解説
【患者申出療養】
従来の保険外併用療養である評価療養(先進医療)よりも迅速に、国内未承認の医薬品・技術や承認薬の適応外使用を実施可能にすることを目的とした、新しい保険外併用療養の枠組み。医療機関ではなく患者の申出が起点となる。将来の保険適用を目指すことを前提に安全性・有効性が審査されるが、薬事承認が進まずに自由診療部分の患者負担が高額のまま据え置かれるとの懸念も根強い。