皮膚科医として完成度が低い状態にもかかわらず、29歳で開業してしまった。何か特徴を出していかなければと思いながら診療していたが、ある時、師匠である竹村 司先生から皮膚科学会(当時)にタコ・ウオノメの専門家不在と助言されたことから、その領域に力を入れてみようと考えた。病理検査をしなくても診断はつくし、1年中患者が来院してくれるのではないかという卑しい気持ちからであった。
その後、ドイツ式フットケア(フスフレーゲ)の技術を身につけ、多くのタコ・ウオノメ、陥入爪(以下、同症)の患者の治療にあたった。今年で医者になって25年、フットケアを始めて18年を経たが、フスフレーゲを行っただけでは再発を繰り返す同症患者を多く経験した。
写真は、その中で特に印象に残っている28歳、女性の臨床所見である。鶏眼・胼胝処置をしても、オーダーメイドのインソールを装着した適合靴を履いても、1カ月後には再発してしまう患者だった。
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