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勤務医の退職時期

No.4752 (2015年05月23日発行) P.65

齋藤清一 (日本病院人事開発研究所代表幹事)

登録日: 2015-05-23

最終更新日: 2016-10-18

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【Q】

勤務医の退職時期については法的にどのように規定されているのでしょうか。ご教示下さい。 (長崎県 M)

【A】

医師の雇用については2つの流れがあります。大学からの派遣医として受け入れる有期雇用契約と,大学とはまったく関係なく知人の紹介やエージェントやネットを通じて病院が直接的に採用する雇用期間の定めのない雇用(常勤医)です。
派遣医の場合,病院は大学医局と派遣医の雇用契約を締結し,おおむね2~3年の期限付きの期間を定めた有期契約で採用する例が多くあります。したがって,有期期間満了をもって退職することとなります。
一方,常勤医の場合は,病院が定めた定年年齢の65~70歳まで職員として継続勤務し,定年年齢をもっていったん退職,以後,嘱託医として勤務する例もあります。
しかし,ここで課題になるのは,定年を過ぎた医師の有期雇用期間です。2015年4月1日,厚生労働省は博士の学位を有する者,医師,歯科医師などの専門的知識等を有する有期雇用労働者などに関する特別措置法(有期雇用特別措置法)を施行しました。
有期雇用特別措置法とは,「高度な専門的知識などを持つ有期雇用労働者(高度専門職)と,定年後引き続き雇用される有期雇用労働者(継続雇用の高齢者)が,その能力を有効に発揮できるよう,事業主が雇用管理に関する特別の措置を行う場合に,労働契約法の『無期転換ルール*』に特例を設ける」ものです。
その特例とは,(1)高度専門職については一定の期間内に完了することが予定されている業務に就く期間(上限10年),(2)継続雇用の高齢者については定年後に引き続き雇用されている期間,それぞれに無期転換申込権が発生しないこととするというものです。
以上,有期雇用特別措置法は施行後まだ間もない状況ですが,いずれにしても,労働契約締結時には本人に雇用契約とは別に覚書などで「X年X月までの雇用を契約し,賃金などの処遇条件は別添契約書の通りとする」などと明示し,了解を得ておくことも大切です。
当初から有期の契約とその処遇条件を書面で明示し,かつ本人に明確に伝えておけば,当事者間にその旨の合意が成立しているという「特段の事情」が認められることになります。
事業主は後でトラブルにならないよう雇用管理(就業期間等労働条件)を書面できちんと明示し,契約の有効性をはっきりさせておくことが必要です。
*有期労働契約が5年を超えて反復更新された場合,労働者の申込みにより無期労働契約に転換させる(労働契約法第18条)

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