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拡大する求人広告詐欺?[〈知っておきたい〉医療機関の法的リスクヘッジ(13)]

No.5219 (2024年05月04日発行) P.52

川﨑 翔 (よつば総合法律事務所東京事務所所長/弁護士)

登録日: 2024-05-01

最終更新日: 2024-04-26

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key word:公序良俗,停止条件付契約,詐欺取消

数年前から「電話やFAXで,無料で求人広告を掲載しないかとの勧誘があったので申し込んだが,1カ月後に1年分の掲載料(数十万円)の請求が届いた」という相談が増加しています。

よくよく契約書や申込書を読んでみると,小さい文字で「1カ月は無料期間,その後は自動的に契約更新されて1年分の掲載料がかかる」という条項の記載があるというものです。こちらとしては,完全無料だと勘違いをしていたわけですが,どのように対処すべきなのでしょうか(実際に求人広告の会社から掲載料の支払いを求める裁判を起こされたケースもあります)。

1.問題の所在

もちろん,一定の無料期間があり,解約をしない限り自動的に有料契約に移行すること自体はおかしなものではありません。携帯電話を契約する際,初月無料のアプリを入れるように勧められるのと同じですね。

ただ,本件のような求人広告詐欺で問題なのは,「無料の求人広告」ということだけを強調して,「一定期間経過後に有料になる」旨を説明していないという点にあります。一方で,契約書や利用申込書には小さい文字で「一定期間後に有料になる」という文言が記載されています。請求する金額が数十万円であり,「弁護士などに相談して対応するよりは支払ってしまうほうが安いかもしれない」と思わせる点も巧妙だと思います。

日本弁護士連合会(日弁連)でも注意喚起をしており,相談窓口を設置1)していますし,ハローワークも注意喚起のリーフレットを配布2)しています。

筆者の顧問先のクリニックでも同様のトラブルがありましたが,筆者が代理人として支払いの拒否及び掲載の停止を求める書面を送付したところ,請求が止まりました。しかし中には,掲載料の支払いを求めて裁判を起こしてくる会社もあるようです。

実際の裁判例を検討しつつ,どのように反論すべきかについて考えていきたいと思います。

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