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化学療法中がん患者の介護者が薬剤への曝露を避けるには?

No.4775 (2015年10月31日発行) P.65

陶山浩一 (熊本大学医学部附属病院がんセンター 外来化学療法センター長)

登録日: 2015-10-31

最終更新日: 2016-10-18

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【Q】

今後,介護を受ける人の中にも外来化学療法を受けるがん患者が増えると思われます。介護する側が曝露を避けるべき薬剤への対策をご教示下さい。 (福岡県 K)

【A】

いくつかの海外で公表されているガイドラインでは,医療関係者の健康に影響を及ぼす薬剤をhazardous drugs(HDs)と定義し,適切な取り扱いを推奨しています。
わが国においても,本年(2015年),関連する学会(日本がん看護学会,日本臨床腫瘍学会,日本臨床腫瘍薬学会)より,『がん薬物療法における曝露対策合同ガイドライン』(文献1)が出版され,HDsの取り扱いに関する指針が提起されています。その中で,HDsは原則として曝露を避けるべき薬剤として定義されており,がん薬物療法を受けている患者を介護する立場にある人は,HDsが含まれていると推定されるすべての物(患者の排泄物やリネン類など)に対して曝露対策を行う必要がある,ということになります。
具体的には,薬剤の大半は投与後48時間以内に排泄されるため,HDs投与後最低48時間は患者の排泄物や体液,およびそれらにより汚染したリネン類への接触は曝露の危険性があるものとし,取り扱いの際には手袋やガウン,保護メガネ,マスクといった曝露対策を行うことが推奨されています(文献1)。実際にすべての患者の介護担当者(多くは家族)にその対策を行って頂くことは現実的ではないでしょう。しかしながら,患者の汚物を介護者が扱う場合は手袋を必ず装着することや,患者のトイレ使用後は蓋をして洗浄するといったことは意識して頂くべきと考えます。

【文献】


1) 日本がん看護学会, 他, 編:がん薬物療法における曝露対策合同ガイドライン 2015年版. 金原出版, 2015.

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