【Q】
動物の寿命は高々100~150年ですが,植物が何千年も生きられる理由は何ですか。また,植物にも悪性腫瘍はできますか。 (東京都 F)【A】
ご指摘の通り,植物は哺乳類のような生物とは寿命のあり方が異なります。通常は1年草として栽培されるアサガオですら,適切な気温と適度な日長の環境下に置けば,何年でも開花し続けることができます。これにはいくつかの理由がありますが,植物の場合は,もともと体のつくり方,発生の仕方が動物と異なります。哺乳類の場合,胚の発生の間に体のパーツのほとんどをつくってしまい,あとはそれらを発達させつつ細胞を更新する程度です。しかし植物の場合は,胚の完成時に用意されているのはわずかに子葉と胚軸,幼根のみであり,成体の大部分は,日々継ぎ足されていく葉,茎,根といった器官からなります。これにより植物個体のサイズは大きくなり続けることができます。器官形成が一生を通じて行われるのも,この形態形成の特徴です。
▼ Zellinger B, et al:Biochim Biophys Acta. 2007;1769(5-6):399-409.