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難治性吃逆(しゃっくり)への対応は?

No.4794 (2016年03月12日発行) P.57

山口 崇 (神戸大学医学部附属病院緩和支持治療科)

登録日: 2016-03-12

最終更新日: 2018-11-27

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【Q】

数軒の医療機関を受診したものの,吃 逆(しゃっくり)が治らないという患者が来院しました。本例は筋弛緩薬と漢方薬で治癒しましたが,最良の治療がありましたら教えて下さい。
(群馬県 E)

【A】

吃逆は,「繰り返す不随意な横隔膜の反射性収縮とそれに引き続く突然の声門閉鎖」であり,急激な吸気に引き続き突然の声門閉鎖が起こるため特徴的な音(ヒック音:“hic”sound)を伴います。吃逆は通常,数秒~数日以内に消失しますが,時に1カ月以上持続する場合があり,難治性吃逆(intractable hiccups)と呼ばれます。
難治性吃逆の場合は,器質的な原因が存在することがあり(表1),まずは原因の検索と可能であればその除去が重要となります。中には重篤な疾患もありますので,一通りスクリーニング頂くことが望ましいと思います。
吃逆の原因が不明の場合や原因除去が困難な場合に対症療法として薬物療法が検討されます。吃逆に対して様々な薬剤の投与が報告されていますが,残念ながら,これまでのところいずれの薬剤も質の高い臨床研究で難治性吃逆に対する治療効果が検討されておらず,多くは薬理学的な作用機序から経験的に使用されている薬剤です。代表的なものには,(1)クロルプロマジン(コントミンR など):吃逆中枢の抑制が期待でき,唯一,吃逆に対して保険適用された薬剤,(2)バクロフェン(ギャバロンR など):筋弛緩作用ならびに吃逆中枢の抑制が期待され,小規模の無作為化比較試験で効果が確認されている,(3)メトクロプラミド(プリンペランR など):胃膨満が原因の場合,(4)ガバペンチン(ガバペンR ):中枢神経性吃逆の場合,などがあります。上述の通り,どの治療が優れているかに関して,データがないというのが現状であり,各薬剤の有害事象リスクや想定される吃逆の発生機序(原因)を加味しつつ,個々の症例で治療を選択する(多くの場合はtry and errorを繰り返す)のが,現時点での現実的な対応と考えられます。

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