株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

昼休みの電話番は 超過勤務の対象になる?

No.4797 (2016年04月02日発行) P.64

松丸 正 (堺法律事務所 弁護士)

登録日: 2016-04-02

最終更新日: 2016-10-18

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

【Q】

当医院の就業規則では,勤務時間は1時間の昼休みを挾み,午前・午後4時間ずつの計8時間/日となっています。昼休みは原則的に勤務時間とはみなされませんが,事務職員が昼休みに電話番として待機している場合,超過勤務の対象と考えてもよいのでしょうか。 (岐阜県 K)

【A】

労働時間(勤務時間)とは,労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間であり,使用者から業務に従事することを明示あるいは黙示に義務づけられ,またはこれを余儀なくされた時間とされています。一方,休憩時間とは,労働者が権利として労働から離れることが保障され,自由使用が許される時間とされています。
就業規則で昼休みの1時間の休憩時間を定めていたとしても,それが休憩時間であるか労働時間であるかについては,その実態に基づいて判断されます。労働時間としての実態が認められれば,その時間は休憩時間ではなく超過勤務として超過勤務手当の支給の対象となります。
ですから,昼休みに電話番あるいは来客への応対のため待機することを貴医院が指示し,それに従って待機をすることが義務づけられているなら,職員にとって電話番などのため待機することが命じられた時間です。また,勤務から離れて自由使用ができる時間とは言えません。したがって,労働時間として超過勤務の対象となります。
また,貴医院が指示していなくとも,貴医院では昼休み中も患者などからの電話連絡や来客があるため,これに職員が待機し,応対せざるをえないのであれば,職員にとっては電話番や来客対応をすることが余儀なくされる時間ですから,やはり超過勤務の対象となります。
なお,職員が待機していたものの昼休みの時間帯に電話や来客がなかったとしても,超過勤務の対象となります。
昼休みを休憩時間として超過勤務の対象外としたいとお考えならば,その時間帯は来客の窓口を閉め,留守番電話にするなど,職員が応対する必要のない体制をつくることが求められます。

関連記事・論文

もっと見る

関連書籍

関連物件情報

もっと見る

page top