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【私の一冊】『その後の不自由─「嵐」のあとを 生きる人たち』

No.4826 (2016年10月22日発行) P.73

松本俊彦 (国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所薬物依存研究部部長)

登録日: 2016-10-21

最終更新日: 2016-10-24

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  • 「嵐」を経験した女性は、その後の日常の虚無感に対してどう対応すればよいか。当事者によって、主にサポートする人に向けて書かれた一冊(上岡陽江・大嶋栄子著、医学書院、2010年刊)

    当事者と共有できる言葉

    書名にある「嵐」という言葉には2つの意味がある。1つは、トラウマ体験に満ちた子ども時代のことであり、もう1つは、薬物乱用や自傷行為、あるいは拒食や過食・嘔吐に翻弄された人生の一時期のことだ。

    本書は、医療機関で忌避されがちな、いわゆる「境界性パーソナリティ障害」と呼ばれる女性たちを主題としている。中でも特に、「嵐」を生き延びるために様々な自己破壊的行動を必要とした経緯、そして「嵐」が過ぎ去った今もなお残り続ける、「生きづらさ」に焦点を当てた点が新しい。

    残り456文字あります

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