株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

副腎皮質癌の化学療法:最近の動向

No.4699 (2014年05月17日発行) P.58

吉田有策 (東京女子医科大学内分泌外科)

登録日: 2014-05-17

最終更新日: 2016-10-26

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

副腎皮質癌は罹患数100万人当たり0.7~2人の稀少疾患であり,5年生存率は37~47%と予後不良である。副腎皮質癌に対する治療の第一選択は手術であるが,切除不能な他臓器浸潤がある局所進行例や遠隔転移が認められる場合には,手術の適応とならない。局所進行例や遠隔転移例,再発例に対する化学療法で,わが国における保険診療による使用が可能な薬剤は,ミトタンのみである。稀少疾患であるが故に有効な化学療法のエビデンスが存在しないのが現状であった。
しかし,欧州で行われた局所進行または遠隔転移を有する副腎皮質癌に対する,ミトタン,エトポシド,ドキソルビシン,シスプラチン併用療法と,ミトタン,ストレプトゾシン併用療法の無作為比較試験で,前者の有用性および安全性が報告された(文献1)。わが国での保険収載が今後の課題である。
また,欧州の後ろ向き研究ではあるが,ミトタンによる術後補助療法とコントロール群との比較で,前者が無再発生存期間や全生存期間の延長に有用であることが報告された(文献2)。ミトタンの副作用による副腎不全発症のリスクはあるが,国内の専門機関で普及しつつある。

【文献】


1) Fassnacht M, et al:N Engl J Med. 2012;366(23): 2189-97.
2) Terzolo M, et al:N Engl J Med. 2007;356(23): 2372-80.

関連記事・論文

関連求人情報

関連物件情報

もっと見る

page top