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多発性内分泌腫瘍症1型(MEN1):日本の現状

No.4711 (2014年08月09日発行) P.54

堀内喜代美 (東京女子医科大学内分泌外科准講師)

登録日: 2014-08-09

最終更新日: 2016-10-26

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多発性内分泌腫瘍症1型(MEN1)は副甲状腺,膵・消化管,下垂体をはじめとした内分泌臓器に腫瘍性病変を生じる常染色体優性遺伝疾患である。わが国のMEN患者の診断と治療の把握を目的としたMENコンソーシアムが2008年に発足し,登録症例560人を対象にした解析結果を報告している(文献1)。
それによると,94%が原発性副甲状腺機能亢進症,58%が膵・消化管神経内分泌腫瘍,49%が下垂体腫瘍を発症し,3疾患すべてを発症している患者は30%であった。膵・消化管神経内分泌腫瘍は非機能性とガストリン産生腫瘍がそれぞれ29%,インスリン産生腫瘍が22%,グルカゴン産生腫瘍が6%であり,欧米に比べてインスリノーマの割合が多い。下垂体腫瘍は非機能性が28%,プロラクチン産生腫瘍が36%,成長ホルモン産生腫瘍が13%であった。膵・消化管神経内分泌腫瘍と下垂体腫瘍ともに非機能性腫瘍が1/3を占めていたことになる。
2013年にはMEN診療の標準化をめざして『多発性内分泌腫瘍症診療ガイドブック』が発刊された。MEN1患者を疑った際の診断アルゴリズムも記載されており,日常診療の参考になる(文献2)。

【文献】


1) Sakurai A, et al:Clin Endocrinol (Oxf). 2012;76 (4):533-9.
2) 多発性内分泌腫瘍症診療ガイドブック編集委員会 編:多発性内分泌腫瘍症診療ガイドブック. 金原出版, 2013.

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