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蕁麻疹治療における抗ヒスタミン薬の投与量およびオマリズマブ

No.4723 (2014年11月01日発行) P.52

戸倉新樹 (浜松医科大学皮膚科教授)

登録日: 2014-11-01

最終更新日: 2016-10-26

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最近の抗ヒスタミン薬を用いた蕁麻疹やアトピー性皮膚炎の治療では,臨床効果の十分でないときにどうするか,ということが話題の中心になっている。
欧州の蕁麻疹に関するガイドラインによれば,第一に増量であり,わが国の趨勢もこれに追随する形となってきている(文献1)。一方では,欧米における2倍量,さらには4倍量という推奨は,わが国の保険診療からすれば直ちに実行に移しがたいものであり,特に4倍量は保険診療上かなりの抵抗感がある。また,わが国では第一世代の抗ヒスタミン薬が皮膚科・耳鼻咽喉科以外の科ではまだ多く使われている。それらは眠気,インペアードパフォーマンス,抗コリン作用などの副作用の問題から,増量治療には適さない。今後,増量による難治例の治療を行う上で,こうした啓蒙も不可欠であろう。
中期的には,現在まである抗ヒスタミン薬が効かなかった場合,他剤に変更する,あるいは他剤を追加するといった処方行動が,増量に向かうことになろう。増量は意味の希薄な処方のブレを修正したかに見え,臨床的に意義深い。
一方,最近海外では難治性の慢性蕁麻疹に対して,抗IgE抗体であるオマリズマブが有効であることが検証された(文献2)。誰もが考えたくなる治療であるが,それが現実のものとなったことは臨床的に大きな価値がある。

【文献】


1) Zuberbier T, et al:Allergy. 2014;69(7):868-87.
2) Maurer M, et al:N Engl J Med. 2013;368(10): 924-35.

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