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NAFLD/NASHの肝外合併症

No.4747 (2015年04月18日発行) P.50

榎奥健一郎 (東京大学消化器内科)

小池和彦 (東京大学消化器内科教授)

登録日: 2015-04-18

最終更新日: 2016-10-26

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NAFLD/NASHは肝硬変,肝細胞癌にまで進展する可能性があることがわかっている。実際,NAF
LD/NASH患者は,一般集団に比して肝関連疾患で死亡するリスクが高いことが知られている(文献1)。
しかし,NAFLD/NASH患者の主な死因は,心血管疾患と悪性腫瘍であることも広く知られている(文献2,3)。NAFLD/NASHはメタボリックシンドロームの肝臓における表現型であり,メタボリックシンドロームの一環として心血管疾患と悪性腫瘍のリスクが増加している可能性もあるが,NAFLD/NASH自体が動脈硬化を促進している,慢性腎障害と相関している,大腸癌のリスクを高めている,といった報告が相次いでいる(文献4)。
NAFLD/NASH患者を外来で診察する際には,肝臓の状態だけでなく,心血管合併症の有無や悪性腫瘍のスクリーニングにも気を配る必要があると考えられる。具体的には,心血管疾患については血圧測定,頸動脈エコーなどを行い,高血圧や脂質異常症の厳格な治療を進める必要があると思われる。適宜,禁煙指導も行う必要がある。また,悪性腫瘍のスクリーニングとしては,定期的な内視鏡検査や,そのほかの画像検査を行う必要があるであろう。

【文献】


1) Adams LA, et al:Gastroenterology. 2005;129(1):113-21.
2) Musso G, et al:Ann Med. 2011;43(8):617-49.
3) Angulo P:Hepatology. 2010;51(2):373-5.
4) Armstrong MJ, et al:Hepatology. 2014;59(3):
1174-97.

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