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甲状腺乳頭癌に対する手術術式

No.4747 (2015年04月18日発行) P.52

日比八束 (藤田保健衛生大学内分泌外科准教授)

登録日: 2015-04-18

最終更新日: 2016-10-26

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甲状腺乳頭癌の生命予後は良好であるが,長期的な局所再発リスクは決して低くない。甲状腺手術では,反回神経損傷や甲状腺・副甲状腺機能低下症などの合併症の可能性が問題となるので,再発リスクへ対応する一方,手術合併症の可能性を考慮しなければならず,甲状腺の切除範囲については従来から議論がなされてきた。
欧米のガイドラインでは,術後に放射性ヨードアブレーションを施行することを前提に甲状腺全摘術が推奨されてきた。一方,わが国では,2011年までは外来での放射性ヨードアブレーションの施行が認められていなかったので,手術合併症の回避を優先して甲状腺温存手術を選択する傾向が強く,どの程度の乳頭癌症例から全摘を施行するかは専門施設間でも随分と差がみられ,一般外科医からすると理解が困難であった。
そこで,わが国では2010年に『甲状腺腫瘍診療ガイドライン』(文献1)に,コンセンサスベースではあるが,甲状腺乳頭癌の手術治療のアルゴリズムが示された。そこでは,T1(2cm未満),N0,M0の症例は葉切除を,T>5cm,N1(ただし,3cm以上,内頸静脈,頸動脈,主要な神経,椎前筋膜へ浸潤するもの,累々と腫大しているといったリンパ節転移),Ex2,M1のいずれかを満たすものは全摘を,そのほかの症例はグレーゾーンとしてどちらも選択しうる,といった内容となっている。最近のNational Clinical Databaseの統計からは,全摘術を選択する施設が以前に比べて増加している傾向がみてとれる。

【文献】


1) 日本内分泌外科学会・日本甲状腺外科学会, 編:甲状腺腫瘍診療ガイドライン2010年版. 金原出版, 2010, p8.
【解説】

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