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頚部圧迫性脊髄症に対する手術治療

No.4756 (2015年06月20日発行) P.52

大島 寧 (東京大学整形外科・脊椎外科講師)

田中 栄 (東京大学整形外科・脊椎外科教授)

登録日: 2015-06-20

最終更新日: 2016-10-26

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頚部圧迫性脊髄症(頚椎症性脊髄症,後縦靱帯骨化症など)の症状は進行性であり,上肢巧緻性障害や歩行障害などによりQOLに支障が出る場合には手術治療を行うことが多い。手術治療は大きく前方アプローチと後方アプローチにわけられる。
前方アプローチは椎間板ならびに椎体を前方から切除して脊髄に到達して除圧を行うものである。切除した椎間板・椎体のスペースに自家骨や人工骨を移植し,必要に応じてプレートを用いて固定術を行うため,長期的に隣接椎間障害を生じうることが問題であった。近年,諸外国では人工椎間板が普及しつつあり,良好な成績が期待されている(文献1)が,わが国では未承認であり,使用することができない。
後方アプローチは後方の靱帯・筋肉を剝がして椎弓に達し,椎弓を掘削して後方から脊髄に到達するものである。椎弓を温存して頚椎の可動性を保ちうる椎弓形成術はわが国で開発された術式であり,比較的安定した長期成績が報告されている。問題点として,術後軸性疼痛と言われる頚部・肩甲部痛を生じるケースが多くみられることがある。後方の支持組織を可能な限り温存することで,軸性疼痛の頻度・程度を軽減することが可能とされているが,課題は多い。近年では,内視鏡を用いて選択的に部分椎弓切除を行う低侵襲手術の報告(文献2)があり,術後疼痛の軽減,早期社会復帰などのメリットがある。

【文献】


1) Jawahar A, et al:Global Spine J. 2012;2(3):183-6.
2) Oshima Y, et al:J Neurol Surg A Cent Eur Neurosurg. 2014;75(6):474-8.

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